相続手続きの必要経費と代行費用の相場はどのくらい?
相続手続きは非常に複雑ですし、手続きごとに期限が定められています。
「 葬儀にかかりきりで、相続手続きが進まない 」
「 気がつけば期限を過ぎていて、相続税の延滞金を請求された 」
こんな事態になる前に、専門家に依頼したいところです。
そこで今回は、相続手続きの代行費用をまとめました。
自分で手続きをする人のために必要経費も掲載しています。
相続手続きを始める前に、ぜひご一読ください。
最後までお読みいただければ、相続における費用相場や、誰に依頼すべきかが一目で分かりますよ。
かかるお金は代行費用だけじゃない!相続手続きにかかる必要経費一覧
主に必要となる書類とその取得金額を一覧にしました。
ご参考にされてください。
相続手続きにかかる必要経費一覧 | |
戸籍謄本 | 450円 |
除籍謄本 | 750円 |
改正原戸籍 | 750円 |
戸籍の附票 | 300円 |
印鑑証明書 | 300円 |
住民票の写し | 300円 |
固定資産税評価証明書 | 400円前後 |
不動産登記簿謄本 | 600円 |
登録免許税 | 固定資産評価額の0.4% |
金融機関の残高証明書 | 1000円前後 |
相続税 | 相続ぶんに応じた所得金額×15〜40%*控除額あり |
相続手続きの代行費用の相場を紹介!
遺言書の作成
10万円
亡くなる前に遺言書を作成する場合、作成代行に必要な費用です。
相続争いが予見されるなら、ぜひ作成しておきましょう。
遺言書は必要項目が揃っていなければ「無効」とみなされてしまう恐れがありますので、専門家に作成を依頼するのがお勧めです。
相続関係図の作成
5万円前後
相続人を確定させるために作成するのが相続関係図です。
戸籍謄本などの情報を元に、亡くなった人との関係を明らかにします。
作成には亡くなった人の一生分の戸籍謄本や、相続人全員の住民票などを揃える必要があります。
亡くなった人が戸籍を移していなければ相続人が請求しても比較的早く揃えられますが、2度3度と戸籍を移動させているなら、取り寄せに時間がかかることもあるでしょう。
相続関係図の作成に時間を取られると、相続放棄の期限や相続税の申告期限を圧してしまいます。
戸籍を何度か移動していたり相続人が多い場合は、専門家に依頼して時間短縮を図りましょう。
遺産分割協議書の作成
5〜10万円
遺産分割協議書とは、遺言書がない場合に、相続人全員で遺産をどのように分配するかを記した書類です。
作成は義務付けられていませんが、各相続手続きで必要になりますし、以降のトラブル防止の役割も果たします。
そのためほとんどのケースで作成される書類です。
遺産分割協議書は決まった形式がなく、ネット上のテンプレートなどを利用すれば誰でも無料で作成できます。
しかし記載事項に不備があると、相続税の申告や不動産の相続登記などに影響を及ぼすことも考えられます。
遺産が多岐に渡る場合は、専門家に依頼するのが安心でしょう。
不動産の名義変更
5〜10万円+登録免許税
不動産の名義変更は相続人でもできますが、必要書類が多いことや手続きが煩雑であることから、専門家に依頼するのが一般的です。
なお登録免許税額は、相続の場合固定資産評価額の0.4%と定められています。
例えば評価額が2000万円だった場合、8万円の登録免許税を国に支払います。
登録免許税は相続人が自分で手続きをした場合にもかかる費用です。
申請しても、審査に1〜2週間程度かかりますし、書類に不備があればさらに時間を要します。
預貯金や有価証券の名義変更
5〜10万円
亡くなった人の預貯金口座の名義変更手続きを依頼することもできます。
保有している金額よりも、金融機関の数により依頼料が増減するケースが多いです。
預貯金口座や有価証券の名義変更も相続人が行えますので、時間に余裕があり遺産の口座が数個であれば、専門家に依頼せずとも良いでしょう。
預貯金口座移動の期限はありませんが、10年以上お金の移動がないと休眠口座となり、引き出すためにはさらに書類と時間を要します。
口座が多数存在するなら、他の手続きと一緒に依頼して、漏れなく遺産の分配を行いましょう。
準確定申告書の作成
1〜7万円
年末調整や確定申告にあたる書類が準確定申告です。
亡くなった人のその年の所得を確定し、税務署に申告します。
毎年確定申告をしていた人や、源泉所得税の還付金が見込める場合に作成・申告が必要です。
相続人が作成することも可能ですが、高度な専門知識が必要なため専門家に依頼するケースがほとんどです。
相続税申告書の作成
15〜100万円前後
相続が確定すると相続税の支払いが発生します。
その相続税額の計算式等を記載した書類が相続税申告書です。
相続税申告書の作成は、税理士に依頼するのが良いでしょう。
相続人が自力で作成することも可能ではありますが、非常に複雑ですし各種控除や節税対策の指導もしてくれます。
ただどのような相続でも必須ということではなく、遺産総額が3000万円+法定相続人の人数×600万円未満であれば、相続税もかかりませんし、申告書の作成も必要ありません。
相続手続きの代行はどの専門家に依頼するのが良いか
それでは相続手続きを依頼するにあたり、どの専門家に依頼するのがベストなのでしょうか?
相続の内容や相続人の価値基準によって、選ぶべき専門家は異なります。
以下を参考に、ご自身に必要な専門家を選択なさってください。
トラブルや裁判が予想される
■ 弁護士
遺産分割協議の段階で揉めることが予想されるなら、裁判になってもすぐに対応してもらえるように弁護士に依頼するのが良いでしょう。
弁護士にも得意分野がありますから、相続に強い弁護士を探してくださいね。
費用よりも信頼度を優先したい
■ 銀行
信頼度や安心感を求めるなら、亡くなった人の口座がある銀行で相続手続きを一括してお任せする方法もあります。
ただしどの専門家に依頼するよりも高額で、最低でも100万円はかかります。
銀行に相続手続きの依頼をお考えの方は、まず見積もりを聞くことから始めましょう。
銀行での手続きが最も高額になる理由は、銀行自体ができる手続きが少なく、相続手続きのほとんどを提携している弁護士や行政書士等の専門家に依頼するためです。
法律で定められた費用設定がある
■ 司法書士
相続手続きの中で、唯一法で定められた費用設定があるのが司法書士です。
たとえば相続財産額500万円以下の場合の報酬額は25万円(税別)です。
ただし、依頼料の他に、出張費用や印紙代などが加算されるケースもありますので、以来前に見積もり依頼をしましょう。
安く済ませたい
■ 行政書士
料金を抑えたい場合や、相続手続きの一部だけを依頼したい場合に便利に利用できるのが行政書士です。
「不動産の相続登記だけ」「相続財産と評価額の調査だけ」な融通のきく利用の仕方ができます。
相続税がかかるかどうかも事前に相談できます。
不動産などの複雑な遺産がない
■ 税理士
不動産などの遺産がほとんどなく、しかし相続税の支払いが必要な場合は税理士がお勧めです。
特例や控除をフルに利用して相続税を抑えてくれます。
逆に相続税の申告が発生しなければ、税理士に依頼する必要はありません。
まとめ
相続手続きは、費用を全くかけずに済ませることはできません。
相続人が自力ですべて行うとしても戸籍謄本などの書類が必要になりますし、書類を取得するためには様々な役所へ出向き、そのたびに利用目的の説明などをしなければなりません。
葬儀の手配などで疲れ切った体にさらに鞭打つ事になります。
疲労困憊で期限までに手続きが終わらないと感じたら、早めに専門家に依頼しましょう。
また、相続手続きの代行費用や必要経費だけでなく、相続手続きの必要書類や流れなども把握しておくと、相続手続きがスムーズにいきます。
相続手続きの必要書類については「相続手続きの必要書類一覧〜入手場所や提出先までわかりやすく」で、相続手続きの流れについては「相続手続きの流れ〜銀行口座解約などの手順」で紹介していますのでご覧ください。
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