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相続で財産目録はなぜ必要?メリットや記載内容を具体的に解説

相続財産目録とはどんなものでしょうか?
またなぜ必要といえるのでしょう?
そうした疑問に答えるために記述しました。

相続財産目録を作成しておくと、計り知れないほどのたくさんのメリットがあります。

それで今から、そのメリットと具体的な作成方法を解説したいと思います。
この記事が、財産目録に関する的確な資料となり、スムーズな相続手続きをすすめていくために、お役に立ることを目指しています。

相続財産目録とは?

相続財産目録とは、相続財産の内容が一覧で一目瞭然となるようまとめたものです。(民法968条2項

相続とは財産の一切合切を引き継ぐことです。

ですから、相続財産目録には、預貯金や不動産などのプラスの財産だけでなく、ローンや借金などのマイナスの財産も含めた全ての財産をリストアップして相続財産の内容を把握できるようにしておくことが必要です。

なお相続財産目録の作成は義務ではありません

しかし、たとえ遺言書を作成しなくても、相続の財産目録だけは作っておいた方がよいでしょう。

なぜなら、財産目録があると相続財産の膨大な調査を簡略でき、相続財産を公平に分配しやすいのでトラブルを防ぎ、相続手続きをスムーズに進めていきやすいからです。

生前の作成は親族への思いやり

生前に相続財産目録を作成する大きなメリットは、親族への思いやりになることです。

相続では相続税の負担が大きな問題となってきますので、相続財産目録の作成で、納税に必要な現金が不足する不安が見えてくることがあります。
その際に「生前贈与をしておいた方がいいのでは」という検討材料にもなります

また財産の効率的な分配方法も分かってくるので、相続人の間で不公平感を減らしトラブルを未然に防ぎます

そして、やっとの思いで遺産分割協議が終わっても、追加で財産が発覚するとしたら、再度、遺産分割協議を最初からやり直さなくてはならず、相続人にとって時間や労力の負担になります。

相続人に不要な負担を負わせるのを避け、期限内に相続手続きをスムーズに完了させるためにも、生前に相続財産目録の作成をしておくことは、残される遺族への思いやりになることでしょう。

相続で財産目録の作成が必要になる場合

相続で財産目録の作成が必要になるのは次の3つの場合があります。

1.遺言書を作成する

2.遺産分割協議を行う

3.相続税の申告書に添付する
上記の場合を説明します。

1.遺言書の作成する

遺言書を作成する時には、財産目録の作成は義務付けられていませんが作成しておくとたいへん便利です。

特に相続財産が多くある場合は、遺言書に誰にどの財産を相続させるかを具体的に記すため、財産を把握しておかなければ遺言書の作成は難しいことでしょう。

また、複数の銀行と取引をしていたり、不動産も多く所有している場合は、所有財産を整理しておくためにも相続財産目録の作成は必須といえます。

なお、2019年の民法改正では遺言書に添付資料として利用する場合は、自筆でなくパソコンでの作成も可能となりました。(民法968条2項


2.遺産分割協議を行う

遺言書がない場合に、遺産分割協議で遺産を分割するために、どこにどれだけの財産があるか、またそれをどうやって分割していくか話し合わなくてはなりません。

財産の全体が分からなければ、話し合いにもならないため、相続財産目録がない場合は、相続人が財産を調査し財産の全体を把握するため相続財産目録を作成する必要が生じます。


3.相続税の申告書に添付する

相続税を申告する際には、必ず財産財産目録を作成し添付しなければなりません

<参考サイト:三菱UFJ銀行
<参考サイト:相続会議朝日新聞

相続財産目録を作成するメリット

前述でも少し触れましたが、より分かりやすく説明します。

1.相続税申告の際に便利

2.遺産分割協議がスムーズになる

3.相続トラブルを防げる

4.相続方法を選択する検討材料になる

1.相続税申告の際に便利

相続税の申告には期限があり、被相続人が死亡してから10か月以内と定められています。
この10か月はあっという間に過ぎてしまうことが多いのです。

というのは、葬儀や49日などの法要があるため多忙を極めるうえ、他の相続手続きで3か月とか4か月で期限を迎えるものがあるからです。

他の手続きが期限を迎える前に、相続財産の全体を把握するため調査し、各相続財産の評価額まで確定させる必要があり、かかる手間と労力の大きさは計り知れません。

しかし故人が生前に財産目録を作成してくれていると、全体の財産がある程度判明していますので、様々な相続手続きの限られた期限内で膨大な調査に費やす時間を大幅に削減できるのは大きなメリットといえるでしょう。

2.遺産分割協議がスムーズになる

遺産分割協議での話し合いは、財産目録がないなら、まず相続財産に何があるか詳細に調べることから始めなくてはなりません。
遺産分割のための協議ですから、前提資料として財産についての詳細情報がないと具体的な話が進みません

相続財産目録があり各財産の金銭的評価額が一目瞭然なら、相続人全員が把握でき協議は格段にスムーズに捗るメリットがあります。

3.相続トラブルを防げる

遺産分割協議の要といえるのは相続財産の全容把握で、それを一覧にした財産目録の作成は相続トラブルを未然に防ぐためにも効果的です。

ただし、生前に作成された財産目録を過信してはなりません。
財産目録を作成後の晩年に獲得した財産がある可能性もありますから、相続人自身でも調査を行う必要があります。

そして資産を調査を終えた段階で、相続人同志で発生しやすいトラブルが遺産相続問題です。

なお遺産が多いと起こりがちと思いますが、以外とそうではありません。

資産が少なくても以外に多い相続トラブル

相続トラブルと聞くと、相続財産額が高額のイメージがありますが、現状は資産の少ない家庭でも揉めることが多くあります。

裁判所の司法統計によりますと、遺産分割事件の総数6934件の内、遺産の総額が1000万円以下で2,279件(約33%)1000万円以上5,000万円以下で3037件(約44%)となっています。

(令和3年 司法統計年報 3 家事編)

実に77%が遺産総額5,000万円以下の家庭で、審判までいった相続トラブルが起きています。
審判までいかなかった細々としたトラブルを含めると、かなりの件数の家庭が揉めていると考えられます。
そして今後も減っていくことはないでしょう。

こうしたトラブルの元は、故人の財産のありかとか、どれだけの財産があるか不明という原因で起こりやすく、「隠し財産があるのでは」とか「自分の取り分が少ないのでは」といった疑念があると遺産分割協議が難航します。

ですから財産の多い少ないにかかわらず、生前に相続財産目録を作成する重要性とメリットがよく分かりますね。

4.相続方法を選択する検討材料になる

遺産相続の方法は「単純承認」「限定承認」「相続放棄」の3つの方法から選択する必要があります。

マイナス財産が多い場合は、限定承認か相続放棄を検討しなければなりませんが、申請期限を考慮すると検討するのに3か月の期間しか設けられておらず時間はかなり短いです。

もし相続財産目録に遺産内容の全体が記載されているなら、期限に間に合わせるため慌てて財産の調査をしなくても、相続方法について適切な判断ができスムーズに選択できるメリットがあります。

また遺産の全体調査を慌てて行うと、後で調査漏れが見つかって大変な思いをしますので注意が必要です。

事前に相続の財産目録が作成されていると、慌てる必要なく時間と気持ちの余裕を持てるでしょう。

相続財産目録を自分で作る際の注意点

財産目録には、決まった書式はありませんが、下記の4つの点をポイントにして作成するとよいでしょう。

また、パソコンで作成するなどで、自筆でない財産目録は、各頁の片面なら片面に、両面にあるなら両面にに署名押印することが求められています。

そして相続財産の作成の全体の流れとしては、区分や種類ごとに一覧にし、財産の名称や数量、所在、価額など特定できるように細かく記載しておきます。

1.種類と所在を正確に書く

2.数量と割合と評価額を正確に書く

3.マイナス財産も記載する

4.詳細で具体的な相続財産目録を作成する
上記4つの点を説明した後、具体的な作成例をその下部に示します。

1.種類と所在を正確に書く

・相続財産の種類を明確にします。

不動産:建物、店舗、宅地、農地、居宅、借地権、借家権 など
動産:自動車、家財、宝石、貴金属、美術品、骨董品、など ※
債権:貸金など
預貯金:銀行などに預けているお金
その他:ゴルフ会員権、株式 など
債務:借金などのマイナスの財産

※ 動産の美術品や貴金属の場合も詳細な情報を記述することがすすめられています。
たとえば「時計」の場合「時計」とだけを記すのではなく「金庫に保管している〇〇株式会社の品名△△△(製造番号××××)の時計」といった具体的に特定できるようにしておきます。

・相続財産の所在の詳細も明確にしておきます。

・不動産不動産の所在は地番(〇〇番地〇)まで表示
・建物 家屋番号」があれば記載
・預貯金:銀行名・支店名・口座番号、預金種目も記載
・会員権:ゴルフ場の名前、運営会社、会員番号
・株式など:株の銘柄や取得費、評価額など

上記のように種類や所在は詳細に示せるものは具体的に特定しやすく記述します。

2.数量と割合と評価額を正確に書く

・不動産なら面積、評価額、割合(持ち分)も記載。

・預貯金は数量と死亡時点の残高を記載。

・評価額は持ち主の死亡時点での評価額。
ただし、作成時点が生前ならその時の評価額なりますから死亡時に確認が必要です。

3.マイナス財産も記載する

相続財産目録には、一切合切の財産を把握できるようプラスの財産とマイナスの財産を記載しなければなりません。

マイナスの財産の例として、住宅ローン、家賃、未払いの税金、未払いの医療費、偶発債務などがあります。

借金・債務・葬式費用に関しては、どこに対していくらの返済義務があるのか正確に記載する必要があります。
また銀行の債務では、死亡日時点で未払いとなっている金額を記載します。

・銀行からの債務の例
借入先:●●銀行●●支店 借入残高:10,000,000円
・未払いの葬儀費用の例
債権者:●●葬儀社 債務金額:500,000円

4.詳細で具体的な相続財産目録を作成する

財産が少なく権利関係が複雑でないなら、簡易な財産目録でもかまわないのですが、財産の種類が多かったり借金があるという場合は、下記のように詳細な書式で作成した方がよいでしょう。

詳細な相続財産目録の例

下記は裁判所の財産目録の記入例を大きく分かりやすくしたものです。

<引用元:相続会議朝日新聞

相続財産目録のExcel書式 

相続財産目録を作成する場合、決まった書式はありませんので、パソコンが得意な方は、Excel書式をダウンロードして入力していけます。

下記は裁判所が作成している詳細情報を記載できるExcel書式でダウンロードできます。

<引用元:裁判所書式集

相続財産目録に漏れがないか確認

相続財産目録の中に、財産の記載に漏れがあった時には、漏れていた財産に関して再度遺産分割協議を行い、分割割合を決める必要が生じてきます。

その際の遺産分割協議でも、相続人全員の合意が必要となり、あらためて時間を合わせ相続人一同が集まらなくてはならず、思いがけない手間と時間がかかってしまいます。
ですから、相続財産目録の作成には十分の財産調査をすることを目指しましょう。

漏れのない目録作成には、相続の専門家に依頼することも助けとなります。
相続財産目録の作成には、行政書士が比較的安く対応してくれるのでおすすめです。

まとめ

相続でトラブルになりやすいのが遺産相続の配分に関してです。
ですから生前にどれだけの資産があるのか整理し、所在を詳細に具体的に明記して相続の財産目録を作成しておくなら相続争いを未然に防げることでしょう。

また相続が開始されたら、たくさんの複雑な手続きの必要が生じ、想像を絶する忙しさが待っています。
相続方法で相続放棄をしなくてはならないとしたら、期限は3か月しかありません。
その短期間に財産を全て調査するのは、相続人にかなりの負担を負わせることになります。
また相続税の申告の期限の10か月にも間に合わせる必要があります。
ですから生前にある程度でも財産全体がわかるように、財産目録があるなら相続手続きは大変スムーズにすすめられることでしょう

この記事を通じて、相続財産目録の必要性や参考となる書式や具体的な書き方が助けとなり、大切な相続の財産管理を行ってくださいますよう願っております。

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