株式の一味違う相続手続きとは?上場と非上場の相違と評価額を解説|大阪で相続手続・遺言書作成なら北大阪相続遺言相談窓口

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株式の一味違う相続手続きとは?上場と非上場の相違と評価額を解説

株式を相続する際には、上場株式と非上場株式では手続きが大きく異なってきます。

特に非上場株式の場合は複雑で難しい計算が必要となり大変な作業となるでしょう。

そして遺産分割や相続税の申告の際には、株式の評価額を調査する必要も生じてきます。

この記事は株式を相続する際には、どのような手続きや調査が必要になってくるかを分かりやすく解説し、スムーズな株式の相続手続きができるようお役に立てることを目指しています。

株式を相続する手続きの流れ

株式の相続は、銀行預金や不動産を相続する場合とは一味違った手続きとなり、相続手続きも複雑になってくるため注意が必要です。

まず株式が遺産に含まれているかどうか確かめましょう。
株式が相続財産に存在している時、上場株式と非上場株式で手続きなどが変わってきます

そして相続発生から10か月以内に相続税の申告が控えていますし、それ以外の手続きにも期限があります。
相続が開始されたなら、早急に株式の調査をし、期限に間に合わせるようにしてください。

株式の保有を調査

上場株式の場合

現在は株式も株券ではなく電子化されていますので、分かりにくくなっています。

それで故人に送付されてきた郵便物を調べたり、定期的に送られてくる取引残高報告書などで、どの証券会社と取引があったのかを確認できます。
なお、死亡日時点で保有していた株式の銘柄名や数量や価格(株価)は、取引残高証明書に記載しています。

さらに故人の預貯金の通帳から、配当金が入金されている場合などで、株式の存在が分かることがあります。
どうしても証券会社が分からない時は、証券保管振替機構に問い合わせると、故人が取引していた証券会社が分かります。

そして証券会社が判明したら、死亡の事実を伝えて、故人が保有していた株式などの残高証明書と相続手続きに必要な書類を発行してもらいましょう。

なお必要書類や所定の用紙は証券会社によって異なりますので、複数の証券会社との取引がある場合は注意してください。

また、投資信託は銀行経由で購入していることもあるため、取引銀行に確認して調査できます。

非上場株式の場合

非上場株式は証券取引所に公開されていない一般に流通していない株式です。

証券会社を経由していないため、保有しているかどうかも分かりにくく、故人の記録や管理しているものから確認するしかなく、自力での調査は困難を極めます。

また親が会社を経営していたり、親族、知人の会社に出資していることもあるので、その株式構成などを確認しておく必要もあります。

さらに非上場の株式を保有していることが明白でも詳細が不明の時は、その会社に問い合わせて持ち株数などを確認して調査しましょう。

非上場株式の場合は、株価が決まっておらず評価も複雑な計算が必要になるため、会社の決算書等を入手し相続税申告のための参考資料にできます。

すなわち非上場株式の場合は手続きも複雑で独特となるのが分かりますね。

準確定申告

通常の確定申告は前年度の1月1日から一年間の収入を、翌年の3月15日までに税務署に申告し納付します。

いっぽう準確定進行とは、年度の途中で亡くなった場合に、その年の1月1日から死亡するまでに発生した収入を相続人が代わって申告することです。
故人が亡くなるまで株式で配当金を受け取っている場合は「被相続人の収入」として準確定申告の対象となります。

また準確定申告の期限は、相続の開始があったことを知った日の翌日から4か月以内です。
期限は短いので株式に関する調査を早急にする必要があるでしょう。

遺産分割協議

遺言書がなかった場合には、株式も遺産分割の対象ですので遺産分割協議が必要です。

株式を含めた相続遺産の全体と誰が相続人かが確定した後、株式を誰がどの株式をどれだけ相続するのかを協議して決める必要があります。

遺産分割について相続人全員が合意したら、次いで遺産分割協議書を作成し全員の署名捺印をしておくのは重要です。

遺産分割確定後は株式の名義変更が可能

遺産分割協議が完了し遺産分割が確定したら、株式の名義変更が可能となります。

なお名義変更に必要な書類は下記の通りです。


上場株式の名義変更

証券会社で名義変更を行う際には、必ず相続人名義の証券口座が必要です。

もし口座を持っていない場合は、新規に口座を開設しておかなければなりません。

そして証券会社で名義変更手続きが完了したら相続人の証券口座に株式が移されます

名義変更に必要な書類

  • 株式名義書換請求書
  • 取引口座引き継ぎの念書
  • 相続人全員の同意書
  • 相続人全員の印鑑証明書
  • 亡くなった人の戸籍謄本(出生から死亡まで連続するもの)
  • 相続人の戸籍謄本・遺産分割協議書  
<引用元:相続会議朝日新聞

用意すべき必要書類が多いため、かかる時間や期間に注意して早急に手続きしましょう。

非上場の名義変更

非上場株式は中小企業だけとは限りません。
大企業で知名度があっても上場していない企業もあります

たとえば竹中工務店、エネオス、日本経済新聞社などが挙げられます。
非上場ですから一般人の我々はこれらの企業の株式を購入できません。

もし非上場株式を保有している場合の名義変更は、発行会社と直接やり取りして名義を書き換えもらいます。

また一般的なケースとして、中小企業のオーナーや役員が、自分の会社の株式を子どもや親族に贈与する形で変更することが多いようです。

しかし中小企業の非上場株式には、譲渡制限が定められており、贈与での名義変更も発行会社の株主総会での承認を受けなければなりません。
この譲渡制限は、意図しない第三者が中小企業の経営に関係してくるのを避けるためです。

非上場株式の名義変更の手続きも、会社ごとに異なることがあり、発行会社に問い合わせる必要があるでしょう。

必要書類として、贈与契約書だけでなく取締役会議事録または株主総会議事録なども揃える場合があります。

上場株式よりも手続きに手間と時間がかかると考えていいので注意すべきです。

相続税に必要な相続した株式の評価方法

遺産分割や相続税の申告のために、株式の評価額を確定させ、相続する株式にどの程度の価値があるのか知っておくことは大切です。

評価額は「1株当たりの株価×株数」で、株式の銘柄が複数ある時は銘柄ごとに評価します。

なお、株式の評価の基準時は、遺産分割協議の際の株式の評価ではありませんので注意しましょう。

下記に評価の方法を説明します。

上場株式の場合の評価方法

株式を相続した時に気になるのは相続税です。
相続税は、株式の評価額が低ければ低いほど税額も低くなります

評価額を算定する場合の原則は、相続発生日(死亡日)の終値が相続税評価額です。

しかし相続税法では、株価は日々変動し時に急変することもあり、そうした不利益が生じるのを是正するため下記の4つの価格から一番低い価格で評価してよいことになっています。

  • 死亡の終値
  • 死亡したの毎日の終値の月平均額
  • 死亡した月の前月の毎日の終値の月平均額
  • 死亡した月の前々月の毎日の終値の月平均額
<参考サイト:相続会議朝日新聞>

終値の調査方法は下記を参考にできます。

・価額を決定する資料として、故人が取引していた証券会社の残高証明書を請求する際、上記のそれぞれの価額が記載された残高証明書も一緒に発行してもらって確認できる

インターネットの検索で株式の終値や平均額を調べられる。
日本取引所グループのサイトには月間相場表が掲載されている。

なお株式保有者の死亡日が、土日や祝日、年末年始で株式取引がないときは死亡日前後で一番近い日の終値を使用します。
そうした死亡日前後の一番近い日が二つある場合は(平日の間の祝祭日が死亡日の場合など)、二つの日の終値を足して2で割った金額となります。

よく調査して損のないように評価額を決定してください。

非上場株式の場合の評価方法

非上場株式は、証券会社で市場価格を確認できないため、会社の財務状況で株価を評価する方法があります。

相続税を申告する際の評価方法は3種類あり、①類似業種比準価額、②純資産価額、③配当還元価額です。
ここでは詳細を記述しませんが、国税庁・取引のない株式の評価で確認してください。

上記のように非上場株式は基準となる株価がないため、特殊な方法で複雑な計算をして自分で算定しなければなりません。
あまりに複雑で手に負えない時は、専門家の助けを借りることをおすすめします。

非上場株式の相続税の軽減に「事業承継税制」の特例措置を使う

事業承継税制」は2009年度に税制改正で創設された制度です。

事業継承税制とは、非上場株式を相続した後継者が、多額の贈与税や相続税で経営が圧迫されて円滑な事業継承ができなくなる問題に対処するため、相続税を猶予または免除されます。

一般措置と特例措置の2つの制度があります。

特例措置は100%の納税猶予を受けられる点で一般措置より優れています。(詳細は国税庁のファイルをご覧ください)
なお特例措置を使う時は、事前に特例継承計画を提出することが必要です。

しかし特例措置には期限があり、残念ながら令和9年12月末までの適用となります。

<引用サイト:国税庁・事業承継税制特集

相続した株式の分割方法

相続人が複数いれば、株式を遺産分割しなければなりませんが、分割方法は下記の3つがあります。

1.現物分割
2.代償分割
3.換価分割

1.現物分割

現物分割とは、株式を金銭に換えず株式のまま取得する方法です。

株式は数で分割できる遺産ですので、複数の相続人で平等に分割が可能なためトラブルになりにくく一般的に行われている方法です。

2.代償分割

遺産分割の際、特定の相続人が株式を現物で相続する代わりに、他の相続人には代償金や他の財産で支払う方法です。

ただしこの方法は、代償金を支払う相続人が多額の資金を有している必要があります。
また株式の評価額によっては、他の相続人に不公平感を残し問題が発生することも生じます。

たとえば株式を相続する側は、節税のため低い株価を選択したいですが、代償金をもらう側は多くもらいたいので株式を高く評価したいと考えるため揉めることがあります。

反対に、代償金をもらう相続人は、所得税や手数料を支払わなくて済む利点がありますが、株式を相続した人は、相続した時より株価が下がり損をするため不公平を是正する調整が必要となってきます。

なお、現金が欲しい相続人がいる場合や、不動産などの分けられない財産がある場合に、その価値を現金で評価し分割できる代償分割は適している方法です。

3.換価分割

株式を売却してその代金を相続人で分ける方法のことです。
売却代金は、法定相続分に従った分配でも、遺産分割協議で話し合われた分け方でも可能です。

株式を現物で取得したいと誰も望まない場合や、相続人が代償金を支払う資金がない時におすすめの方法です。

この場合、代表の相続人が名義変更の要領で証券会社に口座を開設し、そこに移された株式を売却し証券会社の手数料を差し引いて売却代金を分割します。

<参考サイト:相続会議朝日新聞

株式を含めた相続税の申告・納税

相続税の申告は、相続開始の翌日から10か月以内の期限があります。
納付期限も同じで、原則は現金による一括納付ですので注意しましょう。

株式の節税対策を生前にしておく

株式は相続財産の中でも高額になりやすいです。
ですから生前にできることとして、保有株式を減らしていく計画を立て、相続税の節税対策をしておくことは重要です。

株式の相続税対策として生前贈与が有効な手段ですので、誰にどれだけ贈与するかをどのタイミングなら効率的かを検討しておきましょう。

生前贈与する場合は、贈与税のことも考慮すべきです。

株式の節税対策は、できれば税理士などの専門家を交えた検討が望ましいです。

申告期限を守るため生前から状況把握が大事

株式の相続は他の財産とは大きく異なっており複雑です。
そして株券が電子化されていますので、相続が発生した時、手元にある株券で調査することはできません。

さらにインターネット口座が普及している結果、故人しか保有株式の存在が分からないという場合は、相続人はどうしたらいいか分からなくなります。

相続が発生してから、そうした不明点が多いと手続きが相続税の申告期限までに間に合わない可能性もでてきます。

それで被相続人も相続人も、生前に取引していた証券会社や時価などの情報を共有しておくようにしましょう

相続した株式を売却する場合

株式の名義変更が完了すると、株式の売却が可能となります。

株式を売却する場合は、相続税のほかに「譲渡所得税」や「証券会社の手数料」が必要となりますので、相続した時点の株式の額面金額より目減りする可能性があることを考慮にいれましょう。

相続後の売却益には「譲渡所得税」が発生

株式の売却益は「売却金額ー売却手数料ー取得費」で計算されます。
その場合の取得費ですが被相続人が取得した金額で、相続人が取得した時の評価額ではないことに注意しましょう。
もし故人がいくらで株価を取得したのか不明なときは「売却代金×5%」で取得費を計算します。

なお「取得費加算の特例」で課税額を少なくできます。

取得費加算の特例とは、相続税の申告期限から3年以内の売却であれば、売却した株式の分の相続税額を取得費に加算でき、譲渡所得税の負担を軽くできる措置です。
取得費が増えると譲渡所得は小さくなり、結果として課税額が抑えられます。

この取得費加算特例は上場株式、非上場株式の両方で活用できます

<参考サイト:国税庁

まとめ

株式の相続手続きは、上場株式と非上場株式によって大きく異なり、また他の相続財産とも一味違った手続きが必要です
また株式は、誰が保有して管理されているのかが大切となるため、相続する際には名義変更の手続きが重要となってきます。

そして名義変更は証券会社とのやり取りが複雑なため、相続税の申告の期限に間に合わせるためには、早急に手続きを始める必要があるでしょう。

さらに遺産分割や相続税の申告には株式の評価額の確定もしなければなりません。
評価額の確定は、上場株式の場合は比較的簡単ですが、非上場株式は基準となる株価がなく複雑な計算をして算定する必要があり大変です。
専門家の助けが必要な場合もあるでしょう。早目の対策が望ましいです。

したがって、株式は被相続人が存命のうちに、株式の保有状況を確認して、相続が開始された時にはスムーズに必要な手続きができるように備えておくべきです。

株式の相続は、銀行預金や不動産と違う特殊な手続きが必要でしたが、この記事がお役にたてることを願っています。

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