改製原戸籍とは?取得方法や必要なケースを解説!
改製原戸籍は、法改正や記載方式変更の際に旧戸籍を移し替えたもので、相続人調査や名義変更に欠かせない書類です。
本記事では改製原戸籍の概要や他の戸籍との違い、取得方法、活用シーンを具体例とともに解説し、郵送請求の書式や注意点も掲載します。読み終えるころには手続きに自信を持って臨めますので、ぜひご確認ください。
改製原戸籍とは

改製原戸籍とは、法改正や戸籍の記載方式が変更された際に、旧戸籍の内容を新しい形式に移し替えたものです。これにより、戸籍の情報が一貫性を持ち、法的な効力を保つことができます。
改製原戸籍は、相続人の調査や名義変更手続きにおいて重要な役割を果たし、特に相続や遺産分割の際には欠かせない書類となります。これから改製原戸籍の具体的な特徴や取得方法について詳しく解説していきます。
改製原戸籍と似た言葉との違い
改製原戸籍は、法改正や記載方式の変更に伴い、旧戸籍から新しい形式に移し替えられたものです。これに対して、戸籍謄本や戸籍抄本、除籍謄本はそれぞれ異なる目的や内容を持つ書類です。
戸籍謄本との違い
戸籍謄本は現行戸籍をそのまま写した公文書で、筆頭者や本籍、家族の最新構成が確認できます。一方で改製原戸籍は様式改正時に旧戸籍を転記した履歴簿で、戦前の家制度時代の筆頭者や旧字の氏名まで残ります。
そのため、婚姻届など現在の身分確認では戸籍謄本で足りますが、被相続人の出生から死亡までを証明する相続登記や相続税申告では改製原戸籍も含めた連続戸籍が必須です。
また、戸籍謄本は450円でコンビニ交付可能、改製原戸籍は750円で窓口か郵送のみという取得方法と費用の差も覚えておく必要があります。
戸籍抄本との違い
戸籍抄本は戸籍から請求者本人など一人分のみを抜粋した個人事項証明書で、就職やパスポート申請など個人証明に用いられます。
改製原戸籍は家族全員分を転記した履歴資料であり、出生や認知、離婚などの全経過を確認できるため、相続人調査や遺留分侵害額請求で欠かせません。
抄本は情報量が少なく手数料も謄本と同額でコンビニ交付可能ですが、改製原戸籍は750円で窓口・郵送のみと取得コストと時間が掛かります。
目的に応じて個人証明には抄本、家族履歴確認には改製原戸籍と使い分けることが重要です。加えて、抄本には過去の筆頭者変更や転籍日の記載が省略されるため、資産調査では改製原戸籍でないと負債継承の有無を見落とす恐れがあります。
除籍謄本との違い
除籍謄本は戸籍内の全員が婚姻・死亡・転籍で除かれ戸籍簿が閉鎖された後の最終状態を写した書類です。改製原戸籍は様式改正で閉鎖された旧戸籍を転記したもので、閉鎖前の在籍情報を保存しています。
そのため、死亡確認には除籍謄本、出生から婚姻までの履歴確認には改製原戸籍が用いられ、相続手続きでは双方を連続取得して相続人漏れを防ぎます。
いずれもコンビニ交付不可で手数料は750円ですが、除籍謄本は閉鎖後百五十年で廃棄されるため、古い情報は改製原戸籍だけが頼りになる点も覚えておきましょう。
改製原戸籍が必要になるケースとは

改製原戸籍は、特定の手続きにおいて必要不可欠な書類です。例えば、法定相続人の調査や預貯金口座の解約、株式や自動車の名義変更、不動産の相続登記、さらには相続税申告など、さまざまな場面で求められます。
法定相続人の調査
法定相続人を確定するには、被相続人の出生から死亡までの連続戸籍を集める必要があり、その中核を担うのが改製原戸籍です。旧姓への改姓、養子縁組、認知、転籍など過去の身分変動が詳細に記載されているため、相続人の漏れを防げます。
また、遠隔地の戸籍が複数に分かれる場合でも改製原戸籍により一括把握が可能で、後日の遺産分割協議無効を避けられます。調査後は法定相続情報一覧図にまとめておくと金融機関や法務局での手続きが大幅に簡素化でき、
さらに、一覧図は無料交付で5年間有効なため、相続登記や口座解約のたびに戸籍束を提出する手間を省けます。
預貯金口座の解約
銀行や信用金庫で被相続人名義の預貯金を解約する際は、法定相続人全員が確認できる連続戸籍の提出が求められ、その中に改製原戸籍が含まれます。
これにより相続人の範囲と続柄が判明し、払戻請求書に添付する印鑑証明や遺産分割協議書との整合性が確保されます。改製原戸籍を欠くと窓口で受理されず資金凍結が長期化するため、死亡届提出後に郵送で取り寄せておくと安心です。
また、法定相続情報一覧図を併用すれば原本提出の負担が軽減できます。さらに、口座残高証明の発行日が相続税評価日になるため、戸籍取得を先行させることで評価資料の期限切れも防げます。
株式や自動車の名義変更
証券会社や運輸支局で株式や自動車の名義を相続人へ変更する際にも改製原戸籍を含む連続戸籍で法定相続人を証明します。
また、株式では被相続人の出生から死亡までを確認できる資料を厳格に求めるため、改製原戸籍が欠けると書類が返戻され取引が停止します。
さらに、自動車は車検証と遺産分割協議書を添えて運輸支局へ提出しますが、氏名や本籍地の変遷を裏付ける改製原戸籍がないと登録できません。
いずれも書類不備があると再来庁が必要になるため、郵送で早めに取り寄せ、手続き当日に余裕を持って臨むことが大切です。
不動産の相続登記
不動産の相続登記では被相続人の出生から死亡までの戸籍一式を添付する義務があり、改製原戸籍が欠けると登記申請が却下されます。
2024年スタートの義務化により取得をした日から3年以内に登記しないと最大10万円の過料が科されるため、早めの取得が不可欠です。
また、改製原戸籍で婚姻歴や転籍を確認し相続関係説明図を作成すれば審査が円滑になり、抵当権抹消や売却時の追加書類も防げます。書類は郵送でも受け取れますが、紙台帳取り寄せに2週間程度かかるため、工程表を作り余裕を持った手配が大切です。
相続税申告
相続税申告では基礎控除額や配偶者控除の計算に相続人の人数が影響するため、改製原戸籍で法定相続人を漏れなく確認することが前提となります。
出生直後に死亡した兄弟や養子縁組の経歴が把握できず控除額を誤ると追徴課税や延滞税の対象となるおそれがあります。改製原戸籍は旧字体が多く判読に時間が掛かるため、十か月の申告期限を逆算して早期に取得し、税理士に翻刻を依頼すると安全です。
さらに、法定相続情報一覧図を添付すれば戸籍束の提出が不要になり、電子申告による書類省略も可能になります。
改製原戸籍の取得方法とは

改製原戸籍を取得する方法には主に二つの手段があります。これから説明する方法を理解し、改製原戸籍を無駄な時間をかけずに取得しましょう。
役所の窓口で取得する
窓口で改製原戸籍を請求する際は、運転免許証やマイナンバーカードなど顔写真付きの本人確認書類を提示し、交付請求書に本籍・筆頭者・通数・使用目的を記入します。
手数料は750円程度で現金かキャッシュレス決済が使えますが、自治体により異なるため事前確認をしておくと安心です。
また、紙台帳保存分は取り寄せに数日かかるため即日交付が難しい場合があります。さらに、混雑を避けるには予約制や番号札システムを活用し、住民票や戸籍謄本も同時に請求すると往復手間を削減できます。
郵送で受け取る
改製原戸籍を郵送で取得する方法は、役所の窓口に行く時間がない方や遠方に住んでいる方にとって便利です。まず、必要な書類を準備しましょう。
具体的には、請求書、本人確認書類のコピー、手数料分の郵便切手が必要です。請求書は役所の公式ウェブサイトからダウンロードできる場合が多いので、事前に確認しておくと良いでしょう。
郵送請求を行う際は、送付先の役所の住所を正確に記入し、必要書類を同封して郵送します。通常、数日から1週間程度で郵送されてきますが、混雑状況によってはさらに時間がかかることもあるため、余裕を持って請求することをおすすめします。
コンビニでは受け取ることができない
改製原戸籍は、重要な法的書類であるため、取得方法にはいくつかの制約があります。その一つが、コンビニエンスストアでの受け取りができないという点です。
多くの人が利用するコンビニのマルチコピー機や証明書発行サービスでは、改製原戸籍の発行を取り扱っていないため、注意が必要です。
改製原戸籍を取得するには、役所の窓口に直接出向くか、郵送での請求を行う必要があります。そのため、必要になった場合は早くから動き、欲しいタイミングに手元にあるようにしましょう。
まとめ
改製原戸籍は、法改正や記載方式の変更に伴い、旧戸籍を新しい形式に移し替えた重要な書類です。相続手続きや名義変更など、さまざまな場面で必要とされるため、その取得方法や活用シーンを理解しておくことが大切です。
本記事を通じて、改製原戸籍の基本情報や他の戸籍との違い、具体的な取得方法を学び、手続きに自信を持って臨めるようになっていただければ幸いです。必要な時にスムーズに取得できるよう、ぜひ参考にしてください。