家族信託とは?民事信託との違いやメリット・デメリットを解説!|【大阪の相続相談】相続手続・遺言書作成『北大阪相続遺言相談窓口』

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家族信託とは?民事信託との違いやメリット・デメリットを解説!

家族信託とは、信頼できる家族に財産の管理・処分を託し、委託者が認知症などで判断力を失っても資産凍結を防ぎつつ希望どおりの承継を実現できる仕組みです。

民事信託の一形態で、柔軟な財産承継や遺言代用が可能になる一方、信託できない財産や受託者の負担など注意点もあります。

この記事では制度設計のコツや専門家選びのチェックリスト、最新の税制改正動向にも触れ、初めての方でも失敗しない準備方法を丁寧に解説します。

家族信託とは

家族信託とは、信頼できる家族に財産の管理や処分を託す仕組みです。この制度の最大の特徴は、委託者が認知症などで判断力を失った場合でも、資産が凍結されることなく、希望通りの承継を実現できる点にあります。

家族信託は民事信託の一形態であり、柔軟な財産承継や遺言代用としての機能を持っています。さらに、従来の相続制度とは異なり、委託者の意向を細かく反映させることが可能です。

家族信託と民事信託の違いとは

家族信託は民事信託の一形態でありながら、特に家族間での財産管理や承継を目的としている点で大きく異なります。

民事信託は一般的に信託の目的や受託者の範囲が広く、法人や第三者も受託者になれるのに対し、家族信託は主に家族を対象としています。そのため、より個別のニーズに応じた柔軟な設計が可能となります。

また、家族信託では委託者が認知症などで判断力を失った場合でも、信頼できる家族が財産を管理できるため、資産凍結のリスクを効果的に軽減できます。

家族信託が必要な場面とは

家族信託は、特定の状況において特に有効な手段となります。これから説明する場面では、家族信託を利用することで、スムーズな財産承継が実現できるのです。

子供に不動産などを受け渡したい時


家族信託は、子供に不動産を受け渡したい場合に非常に有効な手段です。特に、親が高齢になり、将来的に自分の判断力が低下することを懸念する場合、信託を利用することで、スムーズな財産承継が可能になります。

信託契約を結ぶことで、親が生前に不動産の管理や処分を信頼できる子供に託すことができ、万が一の事態が発生しても、資産が凍結されることなく、希望通りに管理されるのです。

また、家族信託を利用することで、子供が不動産を受け取る際の税負担を軽減することも可能です。信託財産として管理されることで、相続税の評価額が変わる場合もあり、計画的な財産承継が実現します。

何代も先まで財産を継承したい時


家族信託は、財産を何代にもわたって継承したい場合に非常に有効な手段です。例えば、親が子供に財産を託すだけでなく、その子供がさらに自分の子供に財産を引き継ぐことを考えると、家族信託を利用することで、スムーズな承継が可能になります。

信託契約を通じて、受託者が財産を管理し、次世代に適切に引き渡すことができるため、家族間のトラブルを未然に防ぐことにもつながります。

また、家族信託を利用することで、特定の条件を設定して財産の使用方法を指定することも可能です。これにより、受益者が適切に財産を活用できるように配慮することができ、長期的な視点での資産管理が実現します。

共有名義である不動産の管理をしやすくしたい時


共有名義の不動産は、複数の人が所有権を持つため、管理や運用が複雑になることがあります。特に、相続や売却の際には、全員の合意が必要となり、意見の相違がトラブルを引き起こすことも少なくありません。

そこで、家族信託を活用することで、共有名義の不動産の管理をスムーズに行うことが可能になります。家族信託を利用すれば、受託者に不動産の管理を任せることができ、日常的な管理や運用を一元化できます。

これにより、共有者間のコミュニケーションが円滑になり、意見の対立を避けることができます。また、受託者が不動産の売却や賃貸を行う際にも、迅速に対応できるため、資産の有効活用が図れます。

家族信託のメリットとは

家族信託には多くのメリットがあります。ここで説明するメリットを理解し、取り入れるべきなのかの判断材料にしましょう。

認知症になっても財産管理ができる


家族信託の大きなメリットの一つは、委託者が認知症などで判断力を失った場合でも、財産管理が継続できる点です。通常、認知症を発症すると、本人が自らの財産を管理することが難しくなり、資産が凍結されるリスクがあります。

しかし、家族信託を利用することで、あらかじめ信託契約を結んでおけば、受託者が財産の管理や処分を行うことが可能になります。

これにより、委託者の希望に沿った形での資産承継が実現でき、家族の生活を守ることができます。

自由度の高い財産管理ができる


家族信託の大きなメリットの一つは、自由度の高い財産管理が可能である点です。委託者は、受託者に対して具体的な指示を与えることができ、財産の管理や運用方法を柔軟に設定できます。

例えば、特定の目的に応じた資金の使い道を指定したり、受益者の生活状況に応じて分配方法を変更することも可能です。このように、家族信託は単なる財産の移転手段ではなく、家族のニーズに応じた資産管理の仕組みを提供します。

成年後見制度より柔軟に管理できる


家族信託の大きなメリットの一つは、成年後見制度に比べて柔軟な財産管理が可能である点です。成年後見制度は、判断能力が不十分な方のために設けられた制度ですが、手続きが煩雑で、管理者の権限が制限されることが多いです。

一方、家族信託では、委託者が信頼できる家族に財産の管理を任せることができ、具体的な管理方法や運用方針を自由に設定できます。

このため、受託者は委託者の意向に沿った形で柔軟に財産を運用でき、状況に応じた適切な対応が可能となります。特に、資産の種類や状況に応じた個別の対応が求められる場合、家族信託は非常に有効な選択肢となるでしょう。

遺言代わりの効力を持つ


家族信託は、遺言と同様に財産の承継をスムーズに行う手段としても機能します。特に、家族信託を利用することで、委託者が生前に自分の意向を明確に示し、受託者にその意向に基づいて財産を管理・処分させることができます。

また、家族信託は遺言書と異なり、財産の管理や運用を生前から行うことができるため、受託者が実際に財産をどのように扱うかを見守ることができます。

これにより、受託者が適切な判断を下すためのサポートを行うことができ、家族全体の安心感を高めることにもつながります。

さらに、家族信託は遺言書のように法的手続きが必要ないため、迅速に財産の移転を行うことが可能です。

二次相続先を選べる


家族信託の大きなメリットの一つは、二次相続先を自由に選べる点です。通常の相続では、法定相続人が決まっており、相続分も法律に基づいて定められています。

しかし、家族信託を利用することで、委託者が希望する相続人を指定し、特定の財産を特定の人に引き継ぐことが可能になります。これにより、家族間のトラブルを未然に防ぎ、円滑な財産承継を実現することができます。

また、受託者が信託財産を管理することで、相続人が未成年であったり、判断能力に不安がある場合でも、適切に財産を管理し、次世代へと引き継ぐことができるのです。

家族信託のデメリット

家族信託には多くのメリットがありますが、デメリットも存在します。これから説明する点を理解し、慎重に検討することが重要です。

節税対策にはならない


家族信託は、財産の管理や承継を円滑に行うための有効な手段ですが、節税対策としての効果は限定的です。

信託財産に対しては、通常の課税が適用されるため、信託を利用することで税負担が軽減されるわけではありません。特に、不動産を信託財産とする場合、固定資産税や相続税は引き続き発生します。

また、信託財産から得られる収益に対しては、受益者が所得税の申告を行う必要があり、税務手続きが複雑になる可能性があります。したがって、家族信託を導入する際には、節税効果を期待するのではなく、財産管理や承継の柔軟性を重視することが重要です。

受託者の負担・裁量が大きい


家族信託において、受託者は財産の管理や運用を行う重要な役割を担いますが、その責任と負担は非常に大きいものです。

受託者は、委託者の意向に沿った形で財産を管理しなければならず、時には複雑な判断を求められることもあります。例えば、資産の運用方法や売却のタイミング、受益者への分配方法など、さまざまな決定を行う必要があります。

また、受託者は法律上の責任も負うため、適切な管理を怠った場合には、損害賠償責任が生じる可能性もあります。このように、受託者には多くの責任が伴うため、信頼できる家族や専門家を選ぶことが重要です。

家族信託できない財産もある


家族信託は多くの財産に適用できる柔軟な制度ですが、すべての財産が信託の対象となるわけではありません。例えば、特定の金融商品や年金、生命保険の受取権などは、信託できない場合があります。

また、信託の対象となる不動産でも、共有名義の不動産や、相続人が複数いる場合には、信託の設定が難しくなることがあります。

これらの財産は、信託契約の枠組みの外にあるため、事前に確認しておくことが重要です。信託できない財産を把握することで、より効果的な資産管理や承継計画を立てることが可能になります。

遺留分の侵害に注意が必要である


家族信託を利用する際には、遺留分の侵害に注意が必要です。遺留分とは、法定相続人が最低限受け取る権利を保障するための制度であり、特に配偶者や子供に対して適用されます。

家族信託を通じて財産を特定の人に集中させると、他の相続人の遺留分を侵害する可能性があります。これにより、遺留分を主張されると、信託の目的が達成できなくなる恐れがあります。

そのため、家族信託を設計する際には、遺留分を考慮に入れた計画が不可欠です。信託契約を結ぶ前に、専門家と相談し、遺留分に関する理解を深めることが重要です。

家族信託の流れとは


家族信託を実現するためには、いくつかのステップを踏む必要があります。これから説明する流れを理解することで、スムーズに家族信託を進めることができます。

信託契約を締結する


家族信託を始めるためには、まず信託契約を締結する必要があります。この契約は、委託者(財産を託す側)と受託者(財産を管理する側)との間で結ばれ、信託の内容や条件を明確に定める重要なステップです。


契約を締結する際には、専門家の助言を受けることが推奨されます。法律や税務に関する知識が必要なため、弁護士や税理士などの専門家と相談しながら進めることで、トラブルを未然に防ぐことができます。

また、契約内容が明確であるほど、後々の運用がスムーズになるため、慎重に検討することが大切です。信託契約をしっかりと締結することで、家族信託の目的を達成する第一歩を踏み出すことができます。

家族信託で使う銀行口座を開設する


家族信託を運用するためには、専用の銀行口座を開設することが重要です。この口座は、信託財産を管理するためのものであり、受託者が財産を適切に運用するための基盤となります。信託口座を開設する際には、通常の銀行口座とは異なる手続きが必要です。

具体的には、信託契約書や受託者の身分証明書、印鑑証明書などの書類を提出する必要があります。

また、信託口座は受託者名義で開設されるため、委託者の個人名義の口座とは分けて管理することが求められます。これにより、財産の透明性が保たれ、信託の目的に沿った運用が可能になります。

信託登記を行う


家族信託を実現するためには、信託契約を締結した後、信託登記を行うことが重要です。信託登記は、信託財産の所有権を明確にし、第三者に対して信託の存在を示す役割を果たします。この手続きにより、受託者が信託財産を管理・運用する権限を正式に認められることになります。

信託登記を行う際には、必要な書類を準備し、所定の手続きを踏む必要があります。具体的には、信託契約書や受託者の身分証明書、信託財産の明細書などが求められます。

登記が完了すると、信託財産は受託者の名義で管理されることになり、委託者の意向に沿った形での財産管理が可能となります。

信託財産の管理・運用を開始する


家族信託の契約が締結され、信託登記が完了した後は、実際に信託財産の管理・運用を開始する段階に入ります。

このプロセスでは、受託者が財産を適切に管理し、委託者の意向に沿った運用を行うことが求められます。受託者は、信託契約に基づいて財産の運用方針を決定し、必要に応じて資産の売却や投資を行うことができます。

また、信託財産の管理には定期的な報告が必要です。受託者は、委託者や受益者に対して財産の状況を報告し、透明性を保つことが重要です。これにより、信託の目的が達成されているかどうかを確認し、必要に応じて運用方針を見直すことができます。

まとめ


家族信託は、信頼できる家族に財産の管理を託すことで、認知症などのリスクに備えつつ、希望する形での資産承継を実現する有効な手段です。民事信託の一形態として、柔軟な財産管理が可能ですが、注意すべき点も存在します。

この記事を通じて、家族信託の基本的な理解を深め、制度設計や専門家選びのポイントを押さえることで、安心して財産を次世代に引き継ぐ準備を進めていただければと思います。

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