遺言書作成を行政書士に相談するメリットや費用について
「行政書士は行政に提出する書類作成の専門家」「弁護士は紛争に関わる法律全般の専門家」「税理士は税務業務の専門家」と、各士業が行える業務は法律によって規定されています。
このうち、どの専門家に依頼しても遺言手続きを円滑に進めてくれますが、遺言は書類作成が命です。
そこで、行政書士に遺言作成を依頼するメリットとして、次の点が挙げられます。
- 相続人同士の紛争が起きないように、事前に遺言全般のサポートができる。
- 遺言作成に必要な重要書類を「迅速・正確」に取り寄せることができる。
- 公正証書遺言の作成に必要な「証人2人」を行政書士に依頼できる。
- 依頼後も、厳格な守秘義務によって遺言内容が漏れる心配はない。
- 行政書士に遺言執行者を兼ねて依頼した場合、自身の遺言意思がより確実に実現できる。
もちろん、他の専門家ではできて行政書士は携われない遺言業務も存在します。
本章では、行政書士が遺言作成でできることや手続きの流れをわかりやすく解説しています。
是非ご覧になり、行政書士に遺言相談を行う際の参考になさってください。
そもそも遺言書とは何?
遺言書とは、自身の死後に「自分の財産を誰に」「何を分けてあげるのか」を書き記す書面をいいます。
遺言書の作成は「民法に規定された作成方法」の必要があり、形式の異なった書き方を行うならば、その内容が「無効」になる恐れがでてきます。
残された相続人に、自身の思いが確実に実現させるためにも、遺言書は公正証書遺言にして「法的効力」を持たせるとともに、遺言作成の専門家によるアドバイスが不可欠です。
公正証書遺言書とは?
公正証書遺言とは、公証役場で公証人が作成する「公文書」のことをいいます。
公正役場では、利害関係のない証人2人の立ち合いのもと、遺言者は自身の意思を公証人に「口頭」で伝え話します。
公証人は遺言者と証人2人に対して遺言内容を読み上げ、内容に間違いがなければ遺言者と証人2人は署名・押印を行います。
その後、公証人が遺言内容を文章として仕上げていく方法が公正証書遺言です。(民法969条)
なお、遺言書の作成自体は公証人が作成するため、依頼先の代理人(行政書士や弁護士など)は遺言書を書くことはできません。
参考元:日本公証人連合会
行政書士は遺言者の意思が確実に実現するように「文案作成」や「書き方」のサポートを行います。 行政書士に公正証書遺言の作成アドバイスを受けることで、将来的な「遺言書の無効」といったトラブルを回避することが可能です。 |
公正証書遺言には遺言内容を「公証人に口頭で伝え」「公証人が読み上げる」通り、身体に障害を持つ人は思いとどまるかもしれません。
しかし、聴覚や言語が不自由な遺言者には、「読み聞かせ」あるいは「閲覧」といった法律上の代替手段が規定されているため不安なく作成できるのです。(民法第969条3号)
遺言作成による行政書士・弁護士・税理士の強みとは?
「遺言を書きたいけれど誰に相談すればいいのかな・・・」
「弁護士?行政書士?税理士?ハードルが高すぎて気が引けるよね・・・」
そうした悩みの人も、行政書士や弁護士などの強みを把握することで、遺言手続きを安心して一任できます。
そこで、遺言作成おける各専門家の主な「強み」は次の通りです。
- 遺言・相続トラブルは弁護士
- 相続税の申告は税理士
- 遺言書の作成や遺産分割協議書は行政書士
遺言書の作成は、次の国家資格保有者(弁護士・行政書士・司法書士)への依頼が有効な手続きのスタートであると同時に、遺言作成をスムーズに進ませる近道になります。
遺言・相続トラブルは弁護士
「法律相談や訴訟問題は弁護士」と思い描く人も多いことでしょう。
弁護士は他の専門家とは異なり、法律に関わる全分野の業務を行います。
もっとも、法的なトラブルや事件が発生した場合は「代理人」として相手方と和解交渉をしたり裁判所への出廷も弁護士のみです。
なお、弁護士の行う主な法的業務は次の通りとなり弁護士以外の人は行えません。(弁護士法第72条)
民事事件 | 法律相談・和解・仲裁・示談交渉・訴訟・行政庁に対する不服申立など |
刑事事件 | 被疑者(起訴前)や被告人(起訴後)の弁護活動など |
「遺言・相続に関してトラブルが生じた場合」、あるいは「将来的に生じる恐れがある場合」は、事前に弁護士への相談をおすすめします。
一方、一般的に弁護士への費用相場は高めに設定されてる他、遺言・相続問題が苦手な弁護士もいるので事前に見極めることも重要です。
参考元:日本弁護士連合会
相続税の申告は税理士
税務手続きを専門とする税理士は、納税者の代理として次の業務を行います。
税務の代理業務 | 確定申告・税務調査・青色申告の証人申請など |
税務書類の作成 | 相続税の申告書作成・確定申告書などの各税務署に提出する書類作成 |
税法相談 | 税金に関わる税務相談 |
これらの業務は税理士法第2条で規定されており、税理士以外の人は行えません。
遺言・相続関連では、相続税に関わる「税務書類の作成」や贈与税の算出などを行います。
税理士は、遺言の作成前から相続税の相談が行えるため、生前対策としても安心して依頼できます。
難しい相続税の申告作業を税理士に依頼することで、相続人にかかる精神的な負担も軽減されるでしょう。
参考元:日本税理士会連合会
遺言書の作成や遺産分割協議書は行政書士
行政書士の業務範囲は膨大となり、扱う書類内容も数千種類以上に上ります。
具体的には、官公署に提出する書類作成や権利義務(遺産分割協議書や各契約書類・示談書・告訴状など多数)、実地調査に基づく図面や財務諸表など実に多岐です。(行政書士法:第1条2項~4項)
下記をご覧のように、「権利業務に係る書類作成」として遺言書や遺産分割協議書の相談や文案作成を行えます。
事実証明に関する書類作成 | 実地調査に関わる図面等・申述書・財務諸表・会計帳簿など |
官公署への書類提出及び代理業務 | 許認可申請書類(不動産・法人設立・営業許可など1万種類以上) |
権利業務に係る書類作成 | 遺言書や遺産分割協議書などの相続,文案作成 行政手続きの作成など |
紛争問題以外の相談業務など | 行政書士が行う書類作成に関わる相談業務など |
前述したように、行政書士の遂行業務は幅広く、遺言作成を行政書士に依頼する際は「遺言・相続が専門分野」であることを見極めることがポイントです。
行政書士は書類作成を専門としているため遺言の作成費用も抑えられ、さらに専門サポートによって意思の実現も可能となります。
ただし、行政書士は紛争問題に対する相談はできないため、相続トラブルの有無を事前に確認しておくと良いでしょう。
参考元:日本行政書士会連合会
参考元:総務省
こちらの記事には「遺言書作成を行政書士に相談するメリットや費用について」詳しく説明しておりますので合わせてご覧ください。
行政書士が遺言作成でできる業務とは?
「膨大な種類の行政書類」をこなす行政書士ですが、遺言に関わる業務範囲も気になるところです。
下記は、相続・遺言関連での行政書士が行える業務内容の一部です。
- 戸籍謄本の取得
- 相続人の調査及び確定
- 相続人の家系図の作成
- 相続財産の調査
- 財産目録の調査
- 遺言書作成のサポート全般
ここでは、行政書士が遺言作成でできる代表的な業務内容をみてみます。
戸籍謄本の取得
行政書士に遺言作成を依頼すると、面倒な書類も迅速に取り寄せてくれるため、手続きもスムーズに進めます。
相続人が複数人の場合、法定相続分(法律で規定された相続割合)に基づいた遺産分割や、遺言者の定めた方法によって財産分与を行う必要がでてきます。
そのため、まずは戸籍謄本によって「相続人は誰なのか」を確定しなければなりません。
そこで、行政書士は遺言者の出生から現在までの「連続する戸籍謄本(戸籍全部事項証明)」を取り寄せてくれます。
戸籍謄本には「現在の戸籍謄本」「除籍謄本」「改製原戸籍謄本」があり、これらを統合して戸籍謄本と呼んでいます。 戸籍そのものは遺言者の「戸籍のある所在地(本籍のある市区町村役場)」にて取り寄せる必要があるため、戸籍所在地が遠方の人や古い戸籍を持つ場合は大変な労力となります。 戸籍謄本の取得方法は非常に複雑であり、相続関係によっては相続人からの委任状も必要です。 また、1通の戸籍謄本でも本当の相続人が不明だと、正当な相続人であることが確定できるまで全ての戸籍謄本を取り寄せる必要があります。 |
行政書士は「事実証明に関する書類作成を専門」であり、戸籍謄本の取得も「付随業務の一環」として行ってくれるのです。
相続人の調査及び確定
遺言書作成で重要な手続きの一つに「相続人の調査」が挙げられます。
遺言者の死後、相続人同士で遺産分割協議を行い個々の同意が必要となり、一人でも欠けると協議自体が無効になります。(民法第907条1項)
遺産分割協議とは、相続人全員によって、被相続人(死亡した遺言者)の財産をどのように割り当てるかを話し合いを行うものです。 具体的には、相続人の「誰が」「どういった財産を」「いくら」「分けるか」について協議したものを遺産分割協議書に作成していきます。 |
相続人の調査には次の事項も必要不可欠な手続きです。
- 被相続人の預貯金口座や不動産などの名義変更による相続関係の証明書
- 遺産相続が一定額を超過する場合の「相続税」の申告や納税
相続人調査を徹底的に行うことで、認知されていない子がいたり、養子縁組や行方不明の相続人も把握できます。
参考元:法務省
相続人の家系図の作成
「相続人の家系図」は、下記の問題を事前に確定させるためにも重要な作業です。
- 遺言者の財産を引き継ぐのは誰なのか
- 誰が「法定相続分や遺留分」を持つ権利があるのか
行政書士は戸籍謄本によって「誰にどういった相続権利があるか」を確定して「法定相続分を割り出す」とともに、家系図の作成で相続関係を一目瞭然に整理してくれます。
出典元:東京都主税局
遺言者は「遺言」によって相続人を定めることができますが、被相続人の配偶者や子供は常に相続人となります。(民法第890条・民法第792条)
(※内縁の人や相続放棄した人は相続人ではありません)
家系図の作成で相続関係を把握することにより「争続」トラブルを回避する他、後世に家族関係のルーツを伝授するにも大切な作業となるのです。
こちらの記事では「相続する優先順位とその割合を徹底解説」しています。是非参考になさってください。
相続財産の調査
相続財産について民法第896条には次のように明記しています。
相続人は、相続開始の時から、被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継する
民法第896条
法令のように、相続人は遺言者(被相続人)の一切の権利義務を継ぐ義務があります。
なお「一切の権利義務」は主に下記のものをいいます。
プラス財産 | 不動産や自動車・預貯金・貴金属など |
マイナス財産 | 住宅や自動車ローン・連帯保証人債務・借金・未払の税金や治療費など |
相続財産が正しく作成されないと遺言書通りの遺産分割ができず、相続人による「相続放棄の判断」もできません。
さらに、正確な相続税の算出もできず(相続税の申告・納税は原則10ヶ月以内)、場合によっては追微課税や延滞税が課される恐れもでてきます。
そこで相続開始後、行政書士に早めに手続きを依頼して、相続財産を調査・確定させる必要があるのです。
参考元:国税庁
こちらの記事では「相続財産よくある空き家問題」を取り上げているので参考になさってください。
財産目録の調査
財産目録では「誰に」「どんな財産を」「いくら」「分けるか」を定めるものです。
遺言作成における財産調査はもっとも重要な項目となり、正確に把握する必要があります。
不動産調査 | 不動産の評価額によって遺留分や遺言内容も変わるため、もっとも注視される項目となる。 |
預貯金口座の調査 | ・遺言者名義の正確な預貯金口座を特定して現在の口座残高を確認。 ・有価証券や借金調査などから評価額を算出して財産目録が作成される。 |
不動産調査について、行政書士は遺言者が保有する売買契約書や権利証を確認します。
そして遺言者名義の「不動産の地番」を把握後、不動産に関わる登記簿謄本を取得して現在の権利関係を見極めます。
また、毎年通知される「固定資産納税通知書」によって評価額の参考にしたり、地積測量図や固定資産評価額証明書などから評価額や相続税の見積もりが算出されます。
参考元:法務省
遺言書作成のサポート全般
遺言作成は、法律によって厳格な取り決めがあり、誤った記載や訂正の仕方によっては無効になる恐れがでてきます。
遺言書が法的な効力を発揮させるためには、「民法で定められた書類作成を熟知する」行政書士のアドバイスが不可欠です。
遺言者は遺言内容(どんな財産を・誰に・どのような割合で)相続をさせたいかを行政書士に伝え、行政書士は書き方のアドバイスを行いながら「遺言内容の文案」を作成していきます。
行政書士を遺言執行者に指定できる
遺言執行者とは、遺言内容を実現させるために「必要不可欠な相続手続き」を行う人をいいます。(民法第1012条)
遺言執行者が行う主な相続手続きは次の通りです。
- 相続人への遺言内容の通知手続き(民法第1007条)
- 相続人や相続財産の調査(民法第896条)
- 不動産・金融資産の名義変更(民法第1012条)
- 財産目録の作成及び相続人への交付手続き(民法第1011条)
- 特定財産の遺贈を行う際の「特定遺贈」の手続き(民法第1012条2項)
その他「子供の認知」や「相続人の廃除」など、遺言執行者としての義務は多岐に渡ります。
遺言執行者は相続人の代表として「相続人」が行う場合もありますが、相続人同士の感情的な衝突も歪めず、スムーズな手続きが行えない場合があります。 また、手続き自体も民法に則った方法のため難しいため、遺言作成と法的知識を持つ「利害関係のない人」が適任です。 |
遺言執行者を行政書士に依頼することで、公明正大な立場から迅速な手続きが任せられます。
参考元:法務省
公正証書遺言で行政書士ができない業務は?
行政書士は法律家として多様な「行政手続き」に対応しますが、いくつか遂行できない業務もあります。
具体的には、下記のように弁護士や司法書士・税理士が扱う「独占業務」については携われません。
- 紛争に関わる相談
- 登記に関わる作成業務
- 相続税の申告や税務相談
一方で、行政書士が対処可能な書類は計り知れず、官公署に提出する書類作成だけでも膨大な数といわれています。
様々な行政手続きが可能な行政書士ですが、ここでは一部携われない業務を具体的にみてみましょう。
紛争に関わる相談
行政書士は紛争に関わる交渉や法律相談、あるいは家庭裁判所で行う「相続放棄の手続き」等は行えません。
「行政に関わる書類作成のプロフェッショナル」である行政書士には、紛争姓のない相談や協議書・契約書作成を安心して依頼できます。 遺言内容によって「どういった遺言が適切かどうか」「どのように作成したら意思の実現ができるか」など、後々の紛争を事前回避できるように文案を作ってくれます。 また遺言書には「法定相続分や遺留分に対する割合」も丁寧に盛り込み「安心・確実」な遺言相談が行うことが可能です。 |
なお、紛争に関わる問題は弁護士に相談することで、法律的な視点から適切なアドバイスをしてくれるでしょう。
参考元:東京都行政書士会
参考元:日本行政書士会連合会
登記に関わる作成業務
相続財産に不動産を所有している場合、法務局に所有権移転登記(不動産登記申請書)を提出する必要があります。
こうした登記に関わる作成・提出は弁護士(あるいは司法書士)の業務となり行政書士は行えません。
行政書士は、作成した遺産分割協議書や相続人関係図、あるいは戸籍謄本などを弁護士に受け渡すことで、遺言手続きの円滑化を図っています。 遺言作成に行政書士が最適な理由に、業務連携している専門家同士の「独占業務」を側面から支援できることにあるでしょう。 |
結果的に、行政書士に遺言作成を依頼することで、依頼者の法的手続きが「より正確・迅速」に進めることが可能です。
参考元:神奈川県弁護士会
相続税申告の作成や税務相談
「相続税申告の作成や税務に関わる相談」は税理士の独占業務となり行政書士は行えません。
行政書士への依頼後に相続税の発生がわかった場合、事務所によっては提携する税理士に税申告を行ってもらえます。
相続税の申告が必要なケースは「相続税の基礎控除額」を超過した場合となり、被相続人の死亡後10ヶ月以内に税務署で手続きをする必要があります。 |
相続税が生じる恐れがある人は、行政書士に相続財産を確定してもらえると伴に、提携する税理士による迅速な税申告がなされます。
参考元:日本税理士会連合会
参考元:国税庁
行政書士が行う公正証書遺言の流れ
ここでは、公正証書遺言の作成を行政書士に依頼した場合の流れをみてみましょう。
①遺言者とのヒアリング
まずは行政書士事務所で最初の打ち合わせを行います。
初回相談では、今後の手続きにかかる費用や流れについても話しがあるでしょう。
おおまかなヒアリング内容は次の通りです。
- 遺言を書きたいと思った理由
- 誰にどういった遺産を分けたいか
- 家族構成
- 保有する財産状況
ヒアリングを行うことで遺言者の意向をより深く把握でき、遺言者も納得できる文案を作成してもらえます。
相続財産を誰に渡すかは遺言者が自由に設定できます。 今後も財産の変動の恐れもあるため、ヒアリングではおおまかな分配割合を検討すると良いでしょう。 また、相続人同士のトラブルが予知される場合や、複雑な相続関係あるいは相続人が複数人いる場合等は、事前に「遺言執行者」を取り決めておくことをおすすめします。 遺言執行者は、依頼先の行政書士にお願いすることで「安心」かつ「確実な意思の実現」がより高まります。 |
提示する手続き内容や費用・見積もりに納得できたら、行政書士との委任契約となります。
なお、行政書士には「守秘義務」があるため、個人情報や相談内容が家族や外部に知られることはありません。
(※初回相談の際には、相続人がわかる資料や現時点で財産がわかるものを持参すると相談もスムーズです)
②相続財産の整理と遺言書の文案作成
相続財産が単純に「全て●●に相続させる」といった内容でなければ、財産をきちんと特定する必要があります。
また権利関係を明確にするためにも、現在の預貯金(店名や口座番号)・不動産・株式などが把握できる資料を行政書士が整理します。
もっとも、お金に換算できる価値あるものは全て伝えましょう。
こうした財産に記入漏れがあると、遺言者の死亡後に登記上の問題によって相続が困難になる恐れもあるからです。
なお、たとえ換算できるものでなくても、「亡き母からもらった大切な日本人形」など、遺言書によって帰属先を決めておくと安心です。
③証人2人の依頼を決定する
遺言書の文案作成を行いながら、2人以上の証人への依頼を決めていきます。
公正証書遺言に必要な「証人」の役割は次の通りです。
- 遺言者は間違いなく本人か
- 遺言者は正常な判断能力を持っているか
- 遺言内容は自身の意思に基づいて正しく公証人に伝えているか
- 完成した公正証書遺言に遺言者の意思が明確に反映されているか
証人には、このように遺言内容を確認するための大切な役目を持っています。
遺言内容を証人が確認することで、遺言者の意思によって作成されたことを明確にし、将来的なトラブルを回避することが期待できます。
なお、後日にトラブルが生じた場合、証人は裁判書で「遺言書は有効である」証言が必要になる場合もあります。
次の人は、公正証書遺言の証人にはなれません。 ・未成年者 遺言を把握する能力が乏しい ・被相続人(遺言者の死後)の推定相続人 相続遺産をもらう人や配偶者・直系血族 ・公証人と関係のある者 公証人の不正回避のため公証人の配偶者・四親等内の親族・使用人や書記 証人として最適な人は「利害関係のない第三者」となり、行政書士に依頼している場合、そのまま証人になってもらえるでしょう。(民法第974条) 行政書士は、遺言者の遺言事情や資料収集・公証役場への手続きを一任しているため、安心してお願いできます。 |
④必要書類の準備
公正証書遺言による必要書類は下記を参考にしてください。
- 遺言者の印鑑証明書と実印(あるいは運転免許証やマイナンバーカードと認印)
- 遺言者から財産を受け取る人は、遺言者との続柄がわかる戸籍謄本と住民票(本籍地記載)
- 相続人以外が財産をもらう場合は、もらう人の住民票(本籍地記載)
- 不動産がある場合は登記簿謄本・固定資産評価証明書または固定資産税課税明細書
- 預貯金・通帳などの残高証明書
- 自動車の車検証
- 遺言執行者の氏名・住所・生年月日などのメモ
- 証人予定者の氏名・住所・生年月日・職業などのメモ
実際に揃える書類は、遺言作成のサポートを依頼している行政書士に確認しましょう。
こちらの記事では「相続手続きの必要書類一覧〜入手場所や提出先までわかりやすく」解説しているのでご覧ください。
また「相続手続きの流れ〜銀行口座解約などの手順」も合わせてご覧ください。
⑤公証人との打ち合わせ
公証役場にて、文案を基に公証人と打ち合わせを行います。
ここでは遺言者自身が遺言内容を説明し、「遺言者の意思が明確に記載されているか」「法的に誤りのない文書であるか」などの確認と修正が行われます。
なお、公証人との打ち合わせは遺言作成のなかでも大変重要な項目となり、財産目録など正確な書類を確認する必要があります。
そのため、公証人との打ち合わせには文案のほかにも前述の書類を必ず持参しましょう。
もっとも、行政書士にサポートしてもらってる場合は、遺言者の意向をもとに行政書士が代理人として打ち合わせをしてくれます。
参考元:法務省
⑥公証役場での当日の流れ
公証役場にて公正証書遺言を作成する当日の主な流れは次の通りです。
公正証書遺言の手続きを行政書士に一任することで、「遺言者の意思が実現」するための「作成全般のサポート」を受けられます。
まずは初回相談を利用して、行政書士に遺言相談を行うと良いでしょう。
参考元:日本公証人連合会
行政書士の公正証書遺言の費用相場は?
公正証書遺言は、遺言者が事前に作成した遺言書の文案を、遺言者と証人2人の立ち合いのもと公証人が完成させる遺言書をいいます。
公正証書遺言の作成を行政書士に依頼することで、遺言書の文案から公証人との打合せ・証人の手配(または証人として公証役場にへの付き添い)等、遺言に関わる全てのサポートをしてくれます。
ここでは、公正証書遺言を「北大阪相続遺言相談窓口」に依頼した場合の費用相場をみてみましょう。
一般的な遺言の作成費用は?
公正証書遺言の作成費用は依頼する専門家によって異なり、取り扱い内容によって費用に差が出てきます。
ここでは、日本行政書士会連合会による「令和2年度報酬額統計調査の結果」から説明します。
(※費用は全て税込み表記です)
遺言書の文案,作成指導 | 約10万円前後 |
遺産分割協議書の作成 | 約6万円前後 |
相続人,相続財産の調査 | 約5万円前後 |
遺言執行手続き | 約30万円前後 |
その他の費用 | ・公証人への手数料:約5万円~10万円 (※相続する財産総額により変動します) ・証人2人への費用:証人一人につき1万円前後 |
行政書士への費用相場はおおよそ10万円前後となり、相続財産の総額によっても異なります。
参考元:日本行政書士会連合会
公証役場の公証人への手数料は?
公証人への手数料は相続する財産総額によって大きく異なり、その費用相場は「公証人手数料令第9条(別表の下段)により規定されています。
相続財産の額 | 手数料 |
100万円以下 | 5,000円 |
100万円超200万円以下 | 7,000円 |
200万円超500万円以下 | 11,000円 |
500万円超1,000万円以下 | 17,000円 |
1,000万円超3,000万円以下 | 23,000円 |
3,000万円超5,000万円以下 | 29,000円 |
5,000万円1億円以下 | 43,000円 |
1億円超3億円以下 | 43,000円プラス5,000万円ごとに13,000円を加算した額 |
3億円超10億円以下 | 95,000円プラス5,000万円ごとに11,000円を加算した額 |
10億円を超過する場合 | 249,000円プラス5,000万円ごとに8,000円を加算した額 |
公証人の手数料は、全国の公証役場で共通した額となります。
参考元:e-Gov 法令検索
参考元:日本公証人連合会
「北大阪相続遺言相談窓口」の遺言費用
遺言作成を扱う事務所では、手続き費用を一括して提示しているケースも多くあります。
ここでは、北大阪相続遺言相談窓口の「遺言書作成の基本料金」をご覧ください。
遺言作成 | 19,800円~(税込) |
公正証書遺言の手配及び 公証人との文案調整 | 33,000円~(税込) |
証人立ち合い費用(日当:2名分) | 22,000円~(税込) |
相続人調査 (戸籍謄本の収集など) | 9,800円~(税込) |
財産調査(1,000万円以下) | 9,800円~(税込) |
出典元:北大阪相続遺言相談窓口
行政書士に遺言書手続きを依頼する場合、費用だけを重視するのではなく、遺言作成の実績があるか、初回相談から遺言手続き完了まで、総合的にどのくらいの費用になるかを見極めることがポイントです。
なお、「費用相場を明確に提示して作成を行う」行政書士であれば、想定外の費用を請求される心配もなく安心して手続きを任せられるでしょう。
こちらでは「相続手続きの必要経費と代行費用の相場」がより詳しくわかるので是非参考にしてください。
行政書士に遺言書を依頼した場合のまとめ
遺言書の作成は、最初の段階から行政書士の力を借りることで、自身の思いが明確に文案化され、残された相続人もスムーズに財産分与が行えます。
もっとも、行政書士は書類作成のエキスパートであり遺言書作成のプロです。
遺言書の作成はもちろん、自身のご家族の事情や「遺言・相続」に関わる悩みや希望を行政書士に相談することで最善策を立ててくれるでしょう。
なお、「遺言・相続トラブルは弁護士」「税務書類や相続税の申告は税理士」「遺言書や遺産分割協議書の作成は行政書士」と、トータルで対応できる事務所を選択することでより円滑に手続きが進みます。
「北大阪相談遺言相談窓口」は全ての資格者が対応する専門事務所です。
遺言書を作成したい場合は、初回相談からこうした事務所を選ぶことをおすすめします。