遺言の作成は何歳から?自筆証書遺言を若いうちに書くべき理由とメリットを解説|大阪で相続手続・遺言書作成なら北大阪相続遺言相談窓口

大阪で相続手続・遺言書作成なら北大阪相続遺言相談窓口 > 遺言の作成は何歳から?自筆証書遺言を若いうちに書くべき理由とメリットを解説

遺言の作成は何歳から?自筆証書遺言を若いうちに書くべき理由とメリットを解説

人生100年時代と言われる昨今、遺言書は何歳から書くと良いのでしょうか。

子供たち同士の仲も良く、ご自身も若いうちは遺言書を作成するタイミングも掴めないものです。

しかし、遺言書を書ける年齢に達するならば、早めに準備しても「早すぎ」ではありません。

本章では、次の4点についてわかりやすく解説します。

  1. 遺言は何歳から作成できるか
  2. 遺言書は20代~30代から作成してリスクを回避しよう
  3. 遺言を若いうちから書くタイミングは?
  4. 自筆証書遺言のメリットとデメリット

その他「公正証書遺言」とは何かについてもわかるので、遺言を検討中の方は是非参考にしてください。

遺言は何歳から作成できる?

遺言は満15歳から作成できると法律で決まっています。(民法第961条)

「遺言」とは、遺言者(本人)の財産あるいは権利義務の処分方法を、書き残しておく意思表示をいいます。

そして、遺言者の死亡後に「書き残した意思」を現実化させるための手段が遺言です。(民法第985条)

もっとも、ローンや携帯電話の契約といった法律行為を行うには、成人(18歳以上)に達する必要があり保護者の同意が不可欠です。

しかし、遺言作成は「その内容を理解しており、遺言によって生じる結果がわかる」ならば満15歳でも単独による作成が可能です。

参考元:法務省

遺言には年齢制限がない

遺言作成は年齢が満15歳以上と規定されてますが、遺言への年齢制限はありません。

しかし、遺言作成時に遺言者本人の判断能力が低いと「遺言そのものが無効」になる恐れがでてきます。

民法第961条では次のように明言されています。

遺言者は、遺言をする時においてその能力を有しなければならない

他方、遺言能力が必要とされるのは、あくまでも遺言の作成時点です。

遺言作成時に遺言能力が備わっているならば、その後、判断能力が低下しても遺言書が無効になることはありません。

2025年には高齢者の5人に1人が認知症患者に?!

人間は年齢を重ねるごとに認知機能が少しずつ低下していくと言われてます。

認知機能とは、外界から受ける情報や認識あるいは刺激を理解して、状況に応じた行動を起こす脳の働き(判断力や注意・言語能力・記憶力など)のことです。

下記の表をご覧のように、80歳前後から「認知症」になる割合が急激に高くなるのがわかります。

 

出典:主張官邸ホームページ

内閣府の調査では、2025年には高齢者(65歳以上)の認知症患者は700万人に増え、その数は日本の人口の約15%に及ぶとされています。

言い換えれば、今後65歳以上の5人に1人の割合で判断能力の低下が予測されているのです。

認知症は決して他人事ではなく判断能力が怠る前に遺言を作成する必要があるでしょう。

参考元:内閣府

遺言作成時の平均年齢は70代〜80代!

遺言は満15歳から書けますが、実際に作成しているのは何歳の人でしょうか。

ここでは、法務省が調査した「年代別 自筆証書遺言・公正証書遺言作成の経験」のグラフを見てみましょう。

出典:法務省

上記の表から、男女ともに50代半ばから遺言を作成しており、75歳以上になると男性の作成率が多いのがわかります。

もっとも、日本人の平均寿命が長寿化したことも「遺言作成時の高齢化」は見逃せません。

厳しい社会情勢の昨今、遺言者の死亡後の「高齢配偶者の生活を守る」という認識が深まったのではないでしょうか。

遺言書は20代や30代から作成して万が一のリスクを回避しよう!

「遺言書は高齢者が書くもの。自分は若いから必要ない」とお考えの方もいることでしょう。

しかし、どんなに年齢が若くても、明日の命の保証は誰も予想できません。

そのため、遺言書の作成は20代や30代といった「若いうち」に書いて、万が一のリスクに備えたいものです。

ここでは下記のリスクを例に、それぞれの解決策を説明します。

  • 突然死による銀行口座の凍結
  • 不慮の事故や若年性アルツハイマー病等による判断力の低下

銀行口座の凍結を解除できる

たとえ不幸が突然襲ってきても、残された家族は相続手続きを始めなければなりません。

相続手続きの代表として、法務局や金融機関に口座名義人の死亡を知らせる必要があります。

そこで、相続手続きが完了するまで「口座名義人の金融口座は凍結されて現金の引き出しができなくなる」といった大きなリスクが発生します。

口座凍結によって生活費の引き出しができず、生活が困窮する恐れもでてくるでしょう。

他方、遺言書があることで、その預金を相続する人の印鑑証明書と被相続人の戸籍謄本を提出すれば口座凍結が速やかに解除されます。

参考元:一般社団法人 全国銀行協会

なぜ口座名義人が死亡すると口座凍結される?

口座名義人の死亡に伴い、銀行口座に預けている預貯金は「相続財産」となり「相続税の課税対象」になります。

被相続人の預貯金を引き出すと単純承認の扱いになる

遺言者が亡くなった後も自由にお金を引き出してしまうと「単純承認」したとみなされます。(民法第921条)

単純承認とは、被相続人(死亡した遺言者)の相続財産を、無条件で引き継ぐことをいいます。

具体的には、プラス財産(不動産や現金・預貯金などの価値ある財産)やマイナス財産(借金や住宅ローンの残債務・税金などの滞納分・保証債務などの負債全般)を継承する意味合いです。

そのため、相続放棄をしたくても銀行への連絡を怠って、被相続人の口座から現金を引き出すことで「単純承認」とされて相続放棄は厳しくなるのです。

遺産分割協議が決定されるまで口座取引は停止される

また、相続人の誰かが被相続人の財産を持ち逃げしたり、自己のためにお金を引き出したとも考えられます。(民法第906条の2)

こうしたリスクを回避するためにも、相続人同士で話し合う「遺産分割協議」が決定されるまでの期間、被相続人の口座取引は停止する必要がある訳です。

ただし、遺言書があることで遺産分割協議を行う必要はありません。(遺産分割協議とは、相続人同士で遺産の分割について話合い、互いの意思を合わせることをいいます)

なお、全国の金融機関では、遺産分割協議前の「相続預金の払戻し制度」が設けられています。

この制度は遺産分割前であっても、当面の生活費や葬儀費用などを相続預金から払戻してもらえる制度です。(民法第909条の2)

ただし、遺言相続を行った場合には利用ができない恐れもあるので、取引金融機関に確認してみると良いでしょう。

参考元:三菱UFJ銀行

参考元:一般社団法人 全国銀行協会

不慮の事故や若年性認知症等による判断力の低下

不慮の事故や認知力の低下によって意思能力がなくなると、法律行為は無効となります(民法第963条)。

若年性認知症の発症時期

若年性認知症は発症時期によって、次のように3つに分類されます。

18歳~39歳で発症若年性認知症
40歳~64歳で発症初老期認知症
65歳以上で発症老年期認知症

このように、若年性認知症とは65歳未満で発症する認知症の名称をいいます。

65歳未満の働き盛りで認知症に罹ると、働き盛りのため家計の負担も大きいことでしょう。

あるいは、家庭の主婦が発症することで子育て中であったり、家族の心理負担や家族関係にも影響を及ぼすことになります。

そうした「万が一の事態」を想定して、若いうちから遺言を作成すること大切です。

参考元:山口県ホームページ

若年性認知症の原因疾患

ここでは、厚生労働省が2006年〜2008年の3年間に行った「若年性認知症の実態調査結果」を見てみましょう。

出典:公益財団法人 生命保険文化センター(地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター研究所「わが国における若年性認知症有病率・生活実態把握」に関する調査研究報告書)より

認知症の原因疾患は、血管性による認知症がもっとも多く、次にアルツハイマー病と続いてます。

前述したように、高齢者の認知症にはアルツハイマー病が多く、若い年齢層とは異なるのがわかります。

その他、若年層では「前頭側頭型認知症」や「レビー小体型認知症」といった変性疾患に患う割合も注目されています。

参考元:厚生労働省

遺言を若いうちから書くべき最適なタイミングは?

遺言は15歳から作成できるものの、一般的に60代後半から検討する人が多いことでしょう。

しかし、現実社会の中にあっては、遺言を書くべきタイミングを知る必要があります。

具体的には「ライフスタイルが大きく変化するとき」を見計らって作成すると良いでしょう。

ここでは、遺言作成に適した主なタイミングをわかりやすく解説します。

大切な家族が安心して相続手続きが行えるように、若いうちから遺言の検討をしてみましょう。

【遺言のタイミング①】結婚をした場合

結婚によってライフスタイルが大きく変化した場合は遺言作成の最適なタイミングです。

婚姻による遺言者の相続財産は「配偶者」と「遺言者の両親(遺言者の両親がすでに他界している場合は祖父母)です。

(※遺言者の両親などが他界している場合は兄弟姉妹になります)

法定相続分の分け方として、民法では次のように規定されています。(民法第900条)

配偶者と両親(直系尊属)が相続人・配偶者は相続財産の3分の2
・両親は相続財産の3分の1
配偶者と兄弟姉妹が相続人・配偶者は相続財産の4分の3
・兄弟姉妹は相続財産の4分の1

たとえ遺言者の両親と仲違いの関係であったり兄弟姉妹と疎遠の場合でも、配偶者だけに財産を相続させることはできません。

一方、遺言があれば「配偶者だけに相続財産を渡す」ことを指定できます。

ただし、遺留分が請求される可能性があるので注意も必要でしょう。(民法第1042条)

(※遺留分とは被相続人の配偶者や親・子のみに保証される一定の取得分のことであり、ここでは被相続人の親になります)

【遺言のタイミング②】出産をした場合

遺言を書くタイミングとして「出産」が挙げられます。子供を持つと、子の成長を一身に担う「親としての責任」も生じます。

また、自身の「万が一の事態」を想定した保険の見直しといった相続手続きも視野に入れることでしょう。

そうした子供が生まれたタイミングを見計らって、遺言によって家族を支えてあげたいものです。

なお、出産によって法定相続人は「配偶者と子供」になります。

すでに遺言を作成していた人は、遺言内容を変更したり破棄することも可能です。(民法第1022条)

出産を機に満足のいく遺言内容に書き換えてみるのも良いでしょう。

相続人の中に未成年の子供がいる場合は?

遺言書がない場合に相続が発生し、相続人に未成年者の子供がいる場合もあるでしょう。

その場合、親(配偶者)が子供の代理人になって遺産分割協議に参加する必要があります。

しかし、親は子供の代理人になれないため特別代理人の選任が必要になります。(民法第826条1項)

子供が複数人いる場合は、一人ずつに特別代理人の申立てが必要です。

特別代理人との間で遺産分割を行うことになり、結果的に臨機応変な対処も厳しくなり手続きも大変複雑になります。

遺言書があることで、このようなリスクを回避できるとともに、配偶者も安心して相続手続きが行えるでしょう。

【遺言のタイミング③】離婚・再婚で前妻や後妻との間に子供がいる

離婚や再婚によって「前妻や後妻との間に子供がいる」場合、親族関係は非常に複雑です。

このケースで遺言書がない場合、次の相続人同士で遺産分割協議を行う必要があります。

後妻×後妻との間の子供×前妻との間の子供

もちろん、被相続人の後妻は先妻やその子供との面識はないでしょう。

知らない先妻の子供を前にして複雑な遺産分割協議を進める必要もあり、相続人同士の心情はいかがなものでしょうか。

先妻は相続人ではありませんが、「争族」の日種となりトラブルが発生しやすい場合があります。

再婚家庭は必ず「遺言書」を残そう!

このように、相続人同士のトラブルが事前にわかる場合では、遺言書の作成は必要不可欠といえます。

あらかじめ遺言書を書いて、相続財産の分割方法を決めておけば、自身の死亡後も遺産分割協議を行う必要もなく、配偶者が先妻の親族と会う必要もありません。

再婚家庭は相続トラブルが発生しやすいことを念頭に入れて、相続人同士を守るためにも遺言作成は大切です。

参考元:みずほ信託銀行

【遺言のタイミング④】子供を持たない夫婦

夫婦間に子供を持たず、親や祖父母もいない場合の相続人は、妻と夫の兄弟姉妹または甥や姪になります。

しかし、相続人との関係が良好とはいえない疎遠者がいると、実印をもらいに行くにも精神的な負担が大きいものです。

そのため「自分が先に亡くなったら財産全てを配偶者に相続させる」との「夫婦相互遺言」を作成すると良いでしょう。

なお、夫婦相互遺言の作成は連名が禁止されており、あくまでも夫婦各自1通ずつ作成する必要があります。(民法第975条)

また、形式不備を回避するためにも公正証書遺言の作成をおすすめします。

参考元:法務局

H3 【遺言のタイミング⑤】配偶者と死別した

2019年調査による日本人の平均寿命は、男性は81.41歳・女性は87.45歳と女性の寿命は男性より6~7年以上長いのが特徴です。(※2019年厚生労働省のe-ヘルスネットによる)

出典:厚生労働省

高齢化が進む昨今、夫婦のどちらかが亡くなっても残された配偶者の長い生活は続きます。

しかし、配偶者が死亡したことで、残された配偶者が住まいを追い出されたらどんなに悲惨なことでしょうか。

年齢が高くなるにつれ住まいの確保は厳しくなり、生活資金や老後のお金も必要になるのです。

もっとも、残された配偶者は遺産相続によって住まいの確保はできても、住居以外の預貯金などの資産を他の相続人との兼ね合いから諦めざるを得ない場合もあります。

「配偶者居住権」で残された配偶者の生活を守る!

そこで法は、一定要件を満たすことで被相続人が亡くなった後も、残された配偶者はそのまま住み続けることができる権利(=配偶者居住権)の取得が可能となりました。(民法第1028条1項)

また、配偶者居住権は残された配偶者が死亡するまで居住の権利が続きます。(民法第1030条1項)

さらに、預貯金などの相続遺産も多く取得することが可能なため、残された配偶者の生活も守ることができます。

遺言で「配偶者居住権」を遺贈して配偶者の住まいの確保を!

配偶者居住権の設定は、あらかじめ遺言書に書いて「配偶者居住権」を設定する必要があります。

ただし、配偶者居住権の取得は、遺言者の死亡時点でもその住まいに配偶者が暮らしていたことが前提なので注意が必要です。

参考元:法務省

H3 【遺言のタイミング⑥】内縁の配偶者がいる場合

戸籍法上の婚姻届を出してない「内縁の妻(あるいは夫)」には相続権がありません。(民法第890条)

そのため、長い年月を連れ添い続けていても、内縁の配偶者には相続財産は渡りません。

例えば、内縁の夫名義の家に暮らしていた場合、内縁の妻は住まいを失う可能性がでてきます。

さらに、内縁の夫名義の預貯金をしていた場合は、死亡によって内縁の妻にはお金が渡らず、その後の生活資金に困窮することになります。

内縁の配偶者にも「遺言」が可能

内縁の妻(夫)には相続権はないものの、遺言によって財産・資産を残してあげることが可能です。(民法第890条)

もっとも、遺言は相続人に限らず第三者にも残せるため、内縁の配偶者宛てにも作成ができるのです。

他方、相続権のない者への遺言は遺贈にすることで相続財産が残せます。(民法第964条)

なお遺贈とは、被相続人の遺言によって相続人以外の者に財産を渡すことをいいます。

しかし、遺贈によって相続人の遺留分(=遺言書内容に関係なく、相続人に残すべき最低限の相続財産)を侵害する恐れもでてきます。(民法第1046条)

そのため、遺贈を行う場合には、相続人に対する厳格な配慮が必要になります。(民法第1042条)

遺贈以外に財産を安全に残すには?

「どうしても内縁の配偶者に財産を残してあげたい」そんな時は、自身の生命保険を利用すると良いでしょう。

生命保険の受取人を内縁の配偶者に設定しておけば保険金を残すことができます。(※相続人以外の者が受け取る保険金は相続税の課税対象です)

なお、全ての生命保険会社が内縁関係を受取人にしている訳ではなく、また保険会社によって条件も異なるので確認が必要です。

参考元:ライフネット生命

参考元:オリックス生命保険

参考元:日本生命保険相互会社

内縁関係の相続はトラブルになりやすいため、争いが生じにくい「公正証書遺言」の作成をおすすめします。

また、あらかじめ「遺言・相続に強い専門家」への相談をなさると良いでしょう。

【遺言のタイミング⑥】兄弟や相続人同士の仲が悪い

遺言のない遺産相続は、兄弟姉妹や相続人同士による話し合い(遺産分割協議)を行う必要があります。

一方、遺産相続は、たとえ気心知れた兄弟姉妹でもトラブルになりがちな問題なのです。

まして仲の悪い親族同士では、話し合いどころではないのでしょうか。

相続人同士の遺産分割協議が進まないと、裁判所に「遺産分割調停」の申立てを行い、相続人は裁判所に出向いて話し合いを行うことになります。(民法第907条2項)

裁判を利用する際にも細やかな手続きが必須となり、相続人同士の仲がさらに悪化する可能性も歪めません。

しかし、遺言書があることで、遺言の指示に従って財産を分けることができるのです。(民法第960条)

仲の悪い兄弟姉妹や相続人がいる人は、死後のトラブル回避のためにも遺言を作成してみましょう。

参考元:裁判所

【遺言のタイミング⑦】財産や資産状況が大きく変化した場合 

「マイホームの購入」や「定年退職による退職金の支給」は、人生の中でも財産状況が大きく変化する時です。

ここでは、それぞれの事例をみてみましょう。

マイホームの購入

マイホームの購入は、多くの人が20年以上の長期住宅ローンを組むことでしょう。

借り入れ条件によっては、最長35年の返済期間を設定する金融期間も多くあります。

住宅ローンの借入れに伴い「団体信用生命保険」を組む人もいるでしょう。

団体信用生命保険とは、住宅ローンを返済する人が死亡するなどして残りのローンが支払えなくなった場合に備える保険をいいます。

マイホームを購入は遺言の絶妙タイミング!

長期間にわたる住宅ローンの返済期間に、自身に想定外の事態が起こらないとも限りません。

まして、未成年者のいる遺産分割協議は、家庭裁判所による「特別代理人」の選任が必要になります。

遺産分割協議後には不動産の名義変更も控えており、相続人の心労は計り知れないものです。

もっとも、不動産は分割して相続することは困難です。そのため、事前に遺言書を作成して「誰にマイホームを相続してもらうか」を決めておくと良いでしょう、

参考元:りそな銀行

参考元:裁判所

定年退職による退職金の支給

日本の定年退職の年齢は60歳から65歳前後が多く、退職金の支給に伴って財産・資産が大きく変化する時です。

また、年金生活に入ることで退職金を崩しながら、今後の生活を見直さないとなりません。

定年退職後のセカンドライフを安心して暮らすためにも、正確な資産・財産状況の把握に努めることになります。

遺言書を作成するということは自身の積み上げた「総決算」を再確認し終活につなげていく方法です。

今後のライフプランをより具体的に記すためにも、遺言を残して「第2の人生を不安なく」過ごしてまいりましょう。

相続人の中に行方不明者(生死不明)がいる場合

遺産分割協議は、相続人全員で行う必要があります(民法第907条1項)。

相続人に連絡の取れない行方不明者がいると遺産分割協議ができません。

裁判所による「失跡宣言」を受ける

7年もの長期間にわたり、行方不明者の生死がわからない場合は、家庭裁判所への申立てによって「失跡宣言」をすることが可能です。(民法第30条)

失踪宣言によって法律上、行方不明者は死亡したとみなされます。

ただし、失踪宣言の手続きには相当な時間が必要となり、その間で行うべき遺産分割協議にも支障がでてきます。

そこで、推定相続人の中に行方不明者がいるならば、事前対策として遺言書を作成すると良いでしょう。

参考元:裁判所

H4 遺言書によって遺産分割協議の必要はない

遺言書があれば遺産分割協議の必要はなく、行方不明者がいても不動産や預貯金の名義変更が可能です。

したがって、遺産分割協議に不参加の相続人がいても、遺言書があることで相続登記の申請が行えます。

一方、金融機関によっては、たとえ遺言書があっても相続人全員の印鑑証明書と実印が必要となるケースもあります。

そのため、自筆遺言証書は避けて「公正証書遺言」にするべきでしょう。

遺言執行者とは?

公正証書遺言には「遺言執行者」を指定して、預貯金の相続(払戻しや名義変更等)の権限を明確に記載すると良いでしょう。

なお「遺言執行者」とは、遺言内容を実現するために、その手続きを円滑に進めてくれる人をいいます。(民法第1012条1項)(民法第1010条)

遺言執行者に適している人は、弁護士や司法書士・行政書士といった専門家に依頼したほうが手続きもスムーズに進めてくれるでしょう。

参考元:裁判所

参考元:一般社団法人 全国銀行協会

参考元:りそな銀行 埼玉りそな銀行

H3 相続人の中に「認知症・知的障がい・精神障がい」をお持ちの方がいる場合

相続人の中に認知症の方や精神障がいなどをお持ちの方がいる場合、障がいの程度にもよりますが「成人後見人」をつける必要があります。(民法第7条)

ご自身のおかれた状況判断が厳しいと、財産分割といった重要な対応や権利行使を正常に行うことができないためです。(民法第3条の2)

また、遺産分割協議についても、相続人全員に適切な判断能力が備わっていることが重要です。

意思能力や判断能力を欠く人を遺産分割協議に参加させると、協議そのものが無効となってしまいます。(民法第7条)

ただし、被相続人が遺言を作成することで、遺産分割協議の必要はなく、認知症などの人にも安心して財産を残すことができます。

参考元:法務局

参考元:ゆうちょ銀行

自筆証書遺言のメリットとデメリット

遺言書の作成でもっとも重要な点は、遺言者の意思が正しく実現されることにあります。

また、事前に相続人同士のトラブルを回避でき、遺言があることで残った家族も不安なく生活を続けることが可能です。

一方、民法では、遺言書の作成方法が厳粛に規定されており、異なる方式で書いた遺言は無効になります。(民法第968条)

ここでは、自筆証書遺言のメリットとデメリットを解説します。

自筆証書遺言とは

自筆証書遺言とは、遺言者本人が遺言書の「全文・日付・氏名」を自筆して押印したものをいいます。(民法第968条)

自筆遺言書の作成は、満15歳以上であればいつでも手軽に作成できる「シンプルな遺言書」です。

ご自宅に備え付けの紙やボールペン・印鑑・封筒があれば費用もかけずに作成できます。

自筆証書遺言のメリット

自筆証書遺言のメリットは次の通りです。

  • 満15歳以上であればいつでも手軽に作成できる
  • 自筆遺言書の作成自体にお金はかからない
  • 遺言内容も誰にもバレずに作成できる
  • 修正や加筆が自由にできる

そもそも自筆証書遺言は、公証人や証人の介入は入らずに作成できる遺言です。

そのため、遺言者の意思が遺言内容に「明確に記載」されるように、全文手書きによる遺言書となっています。

自筆証書はボールペンや万年筆での作成を!

鉛筆による作成は可能ですが、他者に書き換えられたり、月日の経過によって見えにくくなる恐れもあるため、ボールペンや万年筆で自書すると良いでしょう。

一方、パソコンの使用といった手書き以外の作成は、自筆証書遺言としての効力はなく「無効」となるため注意が必要です。

H4 財産目録はパソコンでの作成が可能

遺言と一緒に「財産目録」を添付する場合、2019年の法改正によってパソコンでの目録作成が有効となりました。

さらに「預金通帳」や「不動産の登記事項証明書」等も、コピーしたものでも添付が可能とされています。

参考元:法務省

H3 自筆証書遺言のデメリット

自筆証書遺言のデメリットは次の通りです。

  • 財産目録以外の全文は自筆で書かなければならない
  • 日付や氏名・押印がないと無効になる
  • 形式不備(財産の記入ミスや漏れ等)があると無効になる
  • 遺言の作成後、相続人から偽造・変造されたり隠される場合がある
  • 遺言者の死亡後、遺言書が発見されない恐れがある
  • 遺言者が作成したにもかかわらず、その真偽性を認めてもらえない恐れがある

この他、遺言書が「自筆証書遺言」の場合、遺言者の死亡後に家庭裁判所で「検認」をとる必要があります。(民法第1004条)

検認の詳細は「遺言書の検認とは〜遺言書を見つけたら家庭裁判所へ」をご覧ください。

検認とは?自筆証書遺言には必要不可欠な手続き

遺言書の「検認」手続きとは、相続人に遺言の存在を知らせるとともに、遺言内容を明らかにして遺言書の偽造や変造を防ぐための重要な手段です。

例えば、金融機関での「預貯金の払戻しや解約」や法務局の「不動産の相続登記」といった手続きには、家庭裁判所での「検認」が不可欠となります。

ゆえに、遺言者の死亡後に遺言書を見つけても、そのまま相続手続きへの利用ができない場合もあるのです。

もっとも、裁判所による検認前に遺言書を開封すると「5万円以下」の罰金の対象になる恐れがあるので注意が必要です。(民法第1005条)

法務局の「自筆証書遺言書保管制度」の利用で検認は不要

2010年7月より、法務局による「自筆証書遺言書保管制度」の利用が開始されました。

「自筆証書遺言書保管制度」とは、自筆証書遺言を画像データ化にして長い年月に渡り預かって管理してもらう制度です。

自筆証書遺言保管制度を利用することで裁判所による検認は不要となり、相続人の負担も軽減されます。

また、法務局では作成した自筆証書遺言の形式を確認してもらえるので、形式不備による無効の恐れもなくなります。

このように、自筆証書遺言書保管制度によって遺言手続きが円滑に進むため、安心して利用できる制度です。

参考元:裁判所

参考元:政府広報オンライン

参考元:法務省

自筆証書遺言保管制度の詳細は「自筆証書遺言を法務局の保管サービスで預ける!制度の概要と注意点」にてご覧いただけます。

相続人の基礎知識 裁判所での「遺言書検認」が必要な場面と、不要な場面」では、検認不要となる場面がわかります。

遺言作成は「公正証書遺言」で安心と確実を手に入れる

ここまでお伝えしたように、自筆証書遺言は費用もかからず手軽に書ける遺言書です。

一方で、些細な形式不備により、遺言自体が無効になる恐れもでてきます。

さらに、遺言者の死亡後、遺言書の保管場所がわからない場合もあるでしょう。

しかし、「公正証書遺言」として残すことで法律的に無効になる心配はなく、偽造や紛失の不安もありません。

ここでは、公正証書遺言についてみてみましょう。

公正証書遺言とは

公正証書遺言とは、2人以上の証人とともに公証役場に出向き、遺言者が遺言内容を公証人に口授し、その内容を公証人が筆記するものです。

公証人役場では「公正証書遺言の原本」も保管されるので、偽造や紛失などのトラブルを回避できます。

また、自筆証書遺言と違って、形式不備による無効の心配も不要です。

何よりも、公証人役場による「遺言検索システム」の利用によって、被相続人が作成した遺言情報や遺言を保管する公証役場を照会することができます。

そのため、遺言書作成の有無がわかり相続人同士の心理的負担も軽くなるのです。

参考元:日本公証人連合会

公正証書遺言の詳細は「遺言書作成は公正証書によって進めたほうがいい、3つの理由」でもご覧いただけます。

また、公正証書遺言と自筆証書遺言の違いを「公証役場で作成する遺言(公正証書遺言)は自筆証書遺言と何が違うのか」にてまとめております。

「遺言作成は何歳から?」のまとめ

遺言作成は満15歳から作成できることを、条例をあわせて詳細いたしました。

ただし、作成タイミングは個人によって全く異なります。

自身の生活や財産状況が大きく変わるときを見計らって作成すると良いでしょう。

もっとも、高齢になるにしたがい、遺言作成も難しくなってきます。

自身の状況から遺言書を書くべきか少しでも悩んだら、躊躇わずに専門家に相談してみてくださいね。

専門家はあなたのライフプランと相続関係等を照らし合わせて、最適なアドバイスをしてくれるでしょう。

相続手続き・遺言書作成無料相談受付中

サービスについてご不明な点や、ご相談等ございましたらお気軽にお電話ください。
お呼びいただければ、ご訪問させていただきます。
ご予約していただきますと、初回無料でご相談いただけます。