相続手続きで抑えるべき重要期限とは?死亡後の手続きを時系列で解説|大阪で相続手続・遺言書作成なら北大阪相続遺言相談窓口

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相続手続きで抑えるべき重要期限とは?死亡後の手続きを時系列で解説

親族の死後、相続関連の手続きは速やかに行う必要がでてきます。

一方、相続手続きには期限が定まっているものが多く、重要書類も不備なく揃えなければなりません。

本記事では、期限内で行うべき相続手続きの流れについて時系列で解説します。

ぜひ最後までご覧いただき、相続手続きの参考にしてください。

死後速やかに行う相続手続きの期限

相続は「相続の開始を知った時点」から各種手続きを行うのが一般的です。

とりわけ、被相続人(死亡した人)が亡くなった日を起算日として進めていきます。

相続手続きには厳格な期限が定められており、期限を過ぎてしまうと相続人は思いも寄らぬトラブルに見舞われる場合もあるため注意が必要です。

ここでは、被相続人の死後に速やかに進めるべき相続手続きや、期限内で行う手続きの流れをみてみましょう。

「※」印は法的な期限はありませんが、早めの対処が必要です。

相続発生からの期限 各種手続き
■7日以内 ・死亡届出の提出
・火葬許可申請の提出(火葬前)
■10日以内 ・厚生年金受給者死亡届の提出
・年金受給者死亡届の提出(国民年金は14日以内)
■14日以内 ・世帯主変更届の提出
・健康保険の資格喪失届の提出
・後期高齢者医療保険の資格喪失届の提出
・厚生年金 国民年金の資格喪失届の提出
・住民票の除票の交付申請(死亡届提出後)
・戸籍謄本の交付申請(死亡届提出後)
※遺産分割協議の開始前※ ・諸事情があれば預貯金一定額の払い戻しが可能
※相続発生後早めに※ ・遺産分割協議の開始
■3ヶ月以内 ・相続放棄及び限定承認の申請手続き
■4ヶ月以内 ・所得税の準確定申告の申請
※遺産分割協議の終了後※ ・遺産分割協議書の作成
・株式,有価証券,預貯金等の名義変更や換金手続き
・ガス,水道光熱費等の名義変更や解約手続き
・借入債務の継承手続き
・クレジットカード等の解約手続き
■10ヶ月以内 ・相続税の申告と納付
■1年以内 ・遺留分侵害額の請求
■3年以内 ・死亡保険金の請求
・不動産の相続登記
■5年10ヶ月以内 ・相続税の還付金請求

期限のある相続手続きは、スケジュールを立てて期限内で行えるようにしましょう。

【7日以内】死亡届出の提出

・提出期限:死亡の事実を知ってから7日以内
・届出場所:亡くなった人の本籍地,死亡地,届出人の所在地の市区町村役場
・必要書類:医師による死亡診断書あるいは死体検案書,届出人の印鑑

親族が亡くなったとき、「死亡の事実を知った日から7日以内」に死亡診断書(あるいは死体検案書)を持参して死亡届を提出します。(戸籍法第86条)

届出人は通常、亡くなった人と同居していた親族ですが、同居以外の親族や親族以外・家主や土地管理人・地主・後見人等も届出人の対象者です。(戸籍法第87条)

なお、葬儀社が遺族の代理人となって死亡届を提出してくれる業者も多々あります。

死亡届が受理されることで、住民票には死亡年月日が記載されます。

死亡届出書の提出後、同役場で「火葬許可申請」の手続きを行うと良いでしょう。

参照元:法務省

【10日以内】厚生年金受給者死亡届の提出

・提出期限:死亡日から10日以内(国民年金は14日以内)※日本年金機構にマイナンバーを登録している場合は提出不要
・届出場所:市区町村役場の年金課窓口あるいは年金事務所
・必要書類:死亡届,死亡診断書,戸籍抄本(または住民票の除籍票),年金証書

年金を受給している被相続人の死亡によって、年金の受取資格は完全に失われます。(障害基礎年金や遺族基礎年金受給者も含む)

そのため、被相続人が亡くなってから10日以内(国民年金は14日以内)に年金受給の停止手続きを行いましょう(厚生年金保険法第98条,国民年金法第105条,国民年金施行規則24条)

期限内に死亡届を提出しなかったり届出を怠った場合、被相続人が受給していた年金額は継続入金されていきます。

結果的に誤入金として、後日まとめて返還する必要があるので注意が必要です。

参照元:日本年金機構

【14日以内】世帯主変更届の提出

・提出期限:死亡日から14日以内
・届出場所:市区町村役場
・必要書類:手続きする人の本人確認書類,印鑑,

世帯主変更届とは、世帯主が亡くなった場合に新たに世帯主を届出る書類をいいます。

提出期限は、世帯主が死亡してから14日以内に亡くなった人の市区町村役場に提出しますが、通常は死亡届と併せて手続きを行います。

世帯主変更届に似通った書類として「世帯変更届」がありますが、これは同一住所に2つの世帯が暮らしたり、世帯主そのものが変更になる場合の書類です。

「世帯主変更届」も「世帯変更届」も住民異動届書の記載が必要ですが、意味合いが全く異なりますので注意しましょう。

【14日以内】健康保険の資格喪失届の提出

・提出期限:死亡日から14日以内
・届出場所:市区町村役場
・必要書類:国民健康保険資格喪失届,死亡届,死亡診断書,戸籍謄本,手続きする人の本人確認書類,認印

被相続人が国民健康保険に加入していた場合、死亡日の翌日に資格は喪失します。

そのため、被相続人が亡くなってから14日以内に、居住地の市区町村役場に「国民健康保険資格喪失届」を提出して保険証の返却必要です。

市区町村役場によっては、死亡届の提出によって健康保険の資格喪失届は不要とする場合もありますが、いずれも所持していた保険証は返しましょう。

なお、世帯主が亡くなった場合は世帯全員の保険証も返却しなければなりません。

国民健康保険での手続きは、まずは新たな世帯主の変更届の提出をします。

そのうえで「世帯主と被保険者証番号」が変更された保険証が世帯全員に発行されるのです。

一方、被用者保険の健康保険では、世帯主の死亡によって扶養家族は加入資格を喪失するので、次のいずれかの健康保険に加入する必要があります。

・国民健康保険への加入
・家族に被用者保険の健康保険に加入していればその扶養に加わる

いずれも14日以内に加入手続きを行いましょう。

参照元:日本年金機構

【14日以内】後期高齢者医療保険の資格喪失届の提出

・提出期限:死亡日から14日以内
・届出場所:市区町村役場
・必要書類:資格喪失届,後期高齢者医療保険証

後期高齢者医療保険に加入している人も、亡くなった翌日から資格を失います。(高齢者の医療の確保に関する法律53条)

資格喪失届は14日以内に居住地の市区町村役場に、保険証の返却と併せて提出しましょう。(高齢者の医療の確保に関する法律54条,同施行規則26条)

【14日以内】厚生年金,国民年金の資格喪失届の提出

・提出期限:14日以内
・届出場所:市区町村役場あるいは年金事務所
・必要書類:死亡届,資格喪失届

厚生年金保険や国民年金保険の死亡によって、翌日から被保険者の資格を失います。(厚生年金保険法第14条1号,国民年金法第9条1号)

国民年金保険の被保険者が亡くなった場合、その親族は14日以内に居住地の市区町村役場あるいは事業主経由で厚生労働大臣に資格喪失届を提出します。

ところで、死亡した人が会社員の夫で「妻が扶養されていた」ケースでは、年金納付を免れていた人も多いことでしょう。

この場合、夫の死亡によって妻は国民年金の種別が「第3号被保険者」から「第1号被保険者」に変更されます。

(※第3号被保険者とは、公務員や会社員の夫(第2号被保険者)に扶養されている、20歳以上60歳未満の配偶者をいいます。)

種別の変更に伴い、妻は14日以内に居住地の市区町村役場に変更届を行いましょう。(国民年金法第7条,同施行規則第6条の2)

【14日以内】住民票の除票の交付申請(死亡届提出後)

住民票(住民基本台帳)に記載された人が亡くなった場合、市区町村は死亡した人を住民登録から抹消しなければなりません。

抹消された住民票を「除票」といっており、相続による住民票の除票は死亡したことを証明する他、亡くなった人の住所地を証明する重要な書面です。

死亡診断書や死体検案書を添付した死亡届を受理した時点で、市区町村が住民登録から抹消します。

「住民票の除票」を提出する場面は多く、金融機関や保険会社への保険請求時、あるいは法務局に相続手続きを行う際にも、戸籍謄本と併せて住民票の除票の提出が必要です。

住民票の除票の保存期間として、市区町村に150年間保存されています。(施行令第34条1項)

参照元:総務省

【14日以内】戸籍謄本の交付申請(死亡届提出後)

・提出期限:死亡届提出後
・届出場所:市区町村役場
・必要書類:窓口に来る人の身分証明書(運転免許証やマイナンバーカードなど)

戸籍謄本とは、戸籍の全員の身分事項が記載されている「写し」です。

戸籍謄本は戸籍全員の「全部事項証明」であり、戸籍抄本は戸籍の一部の「個人事項証明」と呼ばれています。

婚姻によって子は親の戸籍から除籍され、例えば夫の氏を選択すると筆頭者は夫になり、妻は2番目に記載されます。

筆頭者の夫が死亡しても住民票のように「抹消」はされず、身分事項欄に「死亡」と記されます。

相続関連の戸籍謄本は相続人の把握に大切な書類

相続による戸籍謄本の役目は、亡くなった事実と相続人を把握する際に必要不可欠な書類です。

例えば、離婚や再婚を繰り返して亡くなった人の子が他にいる場合、現時点の戸籍謄本だけで相続人を調べることはできません。

相続人が他にいるのかを、出生から死亡に至るまでの全ての戸籍謄本を取得して調査する必要がでてくるのです。

一方、本籍地が異なる場合は遠方の市区町村役場に取得に出向く必要もあり、出揃うまでに労力が必要な作業です。

なるべく早めに取掛かり、わかりにくい場合は市区町村役場にアドバイスを受けると良いでしょう。

※【遺産分割協議の開始前】預貯金一定額の払い戻し

・提出期限:早めに手続きをする
・届出場所:被相続人の取引金融機関窓口
・必要書類:被相続人の除籍謄本,戸籍謄本または全部事項証明書,相続人全員の戸籍謄本または全部時効証明書,預金払い戻しを希望する人の印鑑証明書等

口座名義人が亡くなると預金口座は凍結されてしまい、被相続人の預貯金を引き落とすことができません。

そのため、口座名義人(被相続人)の急な死亡によって、葬儀費用や当面の生活費の支払いに困惑する場合もあります。

そこで、遺産分割協議前であっても相続預金の払い戻しが可能となるように、平成30年7月の民法改正によって、相続預貯金の払い戻し制度が規定されました。

この制度によって、口座名義人(被相続人預金)の預貯金について、法定相続分の3分の1の額まで取引金融機関で払い戻しが可能です。

制度利用には次のような注意事項があります。

・所定の書類が必要の他、預貯金払い戻しには一定の時間を要する
・遺言相続では制度の利用ができない場合もある
・制度利用によって払い戻された預貯金は、後の遺産分割によって「払い戻しを受けた相続人本人」が取得する。(遺産分割の調整を図る)
・同一金融機関からの払い戻し上限額は150万円

参照元:一般社団法人 全国銀行協会

相続預金の払戻しの一例

例えば、死亡した夫が同一金融機関に300万円の預貯金があり、相続人の妻に2分の1、子1人に2分の1の法定相続分があり、妻が払い戻しを受けれる額をみてみましょう。計算式:300万円×1/3×1/2=50万円

前述のように、先に受け取った50万円は遺産分割によって調整されます。

相続預金の払い戻し制度を利用しない場合は、通常通りの相続人同士の遺産分割協議書作成を行います。

あるいは家庭裁判所による払戻し制度を検討する場合もあるでしょう。

※【相続発生後早めに】遺産分割協議の開始

・提出期限:法律上の期限はなし
・届出場所:ー
・必要書類:ー

親族が亡くなってご自身が相続人になった場合、他の相続人全員で遺産分割協議を行う必要があります。

遺産分割協議とは、故人の財産・資産を誰がどのくらい相続するかを話し合うものです。

遺産分割協議を行う期限は法律上ありませんが、相続税の申告や納税期限は相続を知ってから10ヶ月以内のため早めに話し合いを行うべきでしょう。

一方、相続人が一人でも非協力的の場合、話し合いが難航する傾向にあります。

遺産分割協議を怠ると軽減措置が受けられない

万が一、遺産分割協議が進まずに10ヶ月を経過した場合、相続税の減税制度が適用されず軽減措置が受けられない恐れもでてきます。

遺産分割協議を怠ることで、健康保険の給付金や生命保険金の請求の時効によって適用されなくなるのです。

もっとも、法改正によって特別受益や寄与分請求の時効が10年と規定されています。

10年を超えて遺産分割協議を行った場合、希望通りの財産にならない可能性もあるでしょう。

自筆遺言書の開封は家庭裁判所で行う

遺産分割協議の前には「遺言書」の有無を必ず確認してください。

遺産分割が完了してから遺言書が出てくる場合もあり、大きなトラブルに繋がりかねないので注意が必要です。

被相続人の自宅の仏壇やタンスの引き出し、あるいは金庫や書籍の間に自筆の遺言書があるかもしれません。

ただし、遺言書が見つかって開封してしまうと、その効果は無効になるので注意しましょう。

被相続人の自筆遺言書は、必ず家庭裁判所の検認の申立てを得る必要があります。

【肝心要】死後3ヶ月~5年10ヶ月以内に行う相続手続きの期限

相続手続きは遺族にとっても大変過酷な作業となり、被相続人が亡くなった途端に期限限定の重要な手続きが始まります。

特に、死後「3ヶ月以内の相続放棄の手続き」、「4ヶ月以内の所得税の準確定申告の申請」、「10ヶ月以内の相続税の申告」などは肝心要の重要手続きです。

相続税については、税務署からの納税通知書は送られてこないため、相続人が期限までに申告・納付を済ませる必要があります。

ここでは「死後3ヶ月~5年10ヶ月以内」に行うべき相続手続きの期限をみてみましょう。

【3ヶ月以内】相続放棄の申請手続き

・提出期限:3ヶ月
・届出場所:家庭裁判所
・必要書類:相続放棄申述書,戸籍謄本,本人確認書類など

相続が開始すると、被相続人が遺した一切の権利義務(財産や借金)などは、原則として法定相続人が全て継承することになります。

つまり、多額な住宅ローンや借金などを抱えて亡くなった人の財産を継ぐが、あるいは相続を放棄するかを死後3ヶ月以内に判断しなければなりません。

そこで、被相続人がプラス財産(土地や現金)よりもマイナス財産(ローンや借金)が多ければ相続放棄をすることで、被相続人の全ての財産相続を回避できます。

被相続人の相続を放棄する場合は、「相続人は自己のために相続の開始があったことを知った時から3ヶ月以内に、相続について、単純若しくは限定の承認又は放棄しなければならない」と期間が明確化されています。(民法915条1項)

3ヶ月以内に相続放棄の申請をしないとどうなる?

この3ヶ月間に行動を起こさなければ、被相続人のマイナス財産を全て相続することになります。

もしも被相続人に多額な借金やローンがあって、プラス財産から差引いても相続人が払いきれなくても、3ヶ月を過ぎると相続放棄はできなくなるので注意が必要です。

相続放棄の届出場所は、被相続人が最後の居住地の家庭裁判所に申述書を提出します。

相続放棄は一人だけで放棄することも可能であり、その場合は相続開始から相続人ではなかったものとされます。(民法第939条)

【3ヶ月以内】限定承認の申請手続き

・提出期限:3ヶ月以内
・届出場所:家庭裁判所
・必要書類:限定承認申述書,財産目録,戸籍謄本,除籍謄本,被相続人の住民票の除票,申述人全員の戸籍謄本

限定承認とは、相続した財産から借金などのマイナス財産を清算して、残った財産を相続する相続方法です。

例えば、専門家が正しく計算することで、借金よりもプラス財産のほうが多い場合があります。

被相続人が持ち家や有価証券を所有している場合、相続放棄で財産放棄をすることで思いもしない損をすることもある訳です。

こうした不安を回避するためにも限定承認を検討すると安心でしょう。

なお、限定承認の期限も3ヶ月以内と規定されており、必ず期限内に家庭裁判所に申述を行います。

ただし、相続放棄と違って限定承認は、相続人全員が家庭裁判所に申述しなければなりません。

もちろん全ての相続人の意見が一致することが前提のため、一人でも拒否する人がいれば限定相続の利用は難しくなるでしょう。

期限内に遺産相続の判断ができない場合は?

期限内に遺産相続の判断できずに3ヶ月が経過することで「単純承認」として相続の効力が生じてしまいます。

つまり、被相続人のプラス財産やマイナス財産も無限に引き継ぐことになる訳です。(民法第921条2号)

そこで3ヶ月以内に相続放棄の判断が厳しい場合、家庭裁判所に「相続放棄における熟慮期間の伸長」を申立てることで3ヶ月間の追加延長が可能です。

参照元:裁判所

相続財産の相談は「四十九日法要」を目途に行おう

相続人全員による「相続財産」の相談は、四十九日法要を目途に行うと良いでしょう。

四十九日法要が過ぎても何もしないと、被相続人の財産を残り1ヶ月程度で把握して手続きを行うのは困難です。

亡くなった悲しみが益々深くなる頃ですが、3ヶ月以内に相続手続きができるように相続人同士で進めてまいりましょう。

【4ヶ月以内】所得税の準確定申告の申請

・提出期限:4ヶ月以内
・届出場所:所轄税務署
・必要書類:被相続人の所得税及び復興特別所得税の確定申告書付票

被相続人に所得があった場合、相続人は4ヶ月以内に「準確定申告」を行う必要があります。

準確定申告とは、被相続人が年の中途で亡くなった場合に、相続人が代わりとなって所得税額の確定申告を行うことをいいます。

既に死亡している被相続人は、自身で確定申告をすることが不可能なので相続人が行うわけです。

通常の確定申告は翌年の2月~3月頃に行われますが、相続となる準確定申告の期限は、被相続人が亡くなってから4ヶ月以内に申請します。

準確定申告の主な該当者

下記は準確定申告に該当する人の例です。

・アパート・マンション等を経営していて不動産所得があった人
・事業所得があった人
・被相続人の給与額が2000万円を超えてた人
・年金受給が400万円以上だった人
・2箇所以上から給与を受けていた人
・確定申告で還付金をもらえる人等

準確定申告は、相続開始を知った翌日から4ヶ月以内に、居住地を管轄する税務署で申告及び納税を行います。

被相続人に確定申告を行う必要がなければ準確定申告の申請は不要です。

参照元:国税庁

※【遺産分割協議の終了後】遺産分割協議書の作成

・提出期限:法律上の期限はなし
・届出場所:
・必要書類:被相続人の出生から死亡するでの戸籍(除籍),被相続人の住民票の除票と戸籍の附票,相続人全員の戸籍謄本,相続人全員の印鑑証明書と実印,財産一覧表

遺産分割協議書とは、遺産分割協議で合意した内容を記載した書類をいいます。

遺産分割協議には全ての相続人の参加が必須となり、遺言書がない場合に話合いによって遺産の分け方を決めていきます。

相続人が誰だかわからない場合は、戸籍謄本を取り寄せてきちんと確定させなければなりません。

とりわけ、認知された子も相続人なので一人も漏れなく遺産分割協議の参加が必要です。

一方、遺産分割協議書には全ての相続人の署名と押印が必要なため、遠方などで話合いに参加できない相続人には電話や郵送などで連携をとりましょう。

遺産分割協議が終わったら、各相続人は相続財産の名義変更を速やかに取り掛かります。

遺産分割協議書は名義変更手続きに必要不可欠のため、相続人分を丁寧に作成して、それぞれが保持できるようにします。

参照元:法務省

参照元:三井住友信託銀行

相続財産やガス・水道光熱費等の名義変更や解約手続き

土地・家屋などの不動産は、どういった人に権利が与えられているかがわかる「登記制度」があります。

被相続人の所有していた不動産も相続によって変わるため、法務局で相続登記の変更手続きを行う必要がでてきます。

自動車の名義変更は陸運局で行いますが、被相続人の保険を継続したい場合は保険会社に名義変更の手続きを行いましょう。

廃車を検討している場合も、一旦、相続人の名義変更が必要になるため注意が必要です。

その他、預貯金やガス・光熱費・クレジットカード等の名義変更や解約手続きあるいは換金手続きを行います。

不動産や預貯金口座の名義変更には遺産分割協議書と協議書に押印した印の「印鑑証明書」を提出するので事前に用意しておきましょう。

【10ヶ月以内】相続税の申告と納付手続き

・提出期限:10ヶ月以内
・届出場所:所轄の税務署
・必要書類:被相続人の戸籍謄本と改正腹戸籍,被相続人の住民票の除票,相続人全員の戸籍謄本,相続人全員の住民票,相続人全員のマイナンバー確認書類,相続人全員の印鑑登録証明書

相続税の申告は、被相続人が亡くなったことを知った日(通常は死亡日)の翌日から10ヶ月以内に手続きをします。

例えば、2月1日に死亡した場合は同年の12月1日が申告期限です。(期限日が土日祝日の場合は、翌日が期限日となります)

申告期限までに手続きをしない場合や少ない額で申告した場合には、実際に払う税金の他に加算税や延滞税がかかる恐れがあるため注意が必要です。

他方、相続税の納税は金融機関でも可能です。ただし、期限内に納税しない場合には延滞税がかかるため注意しましょう。

相続税の納税方法には「物納制度」と「延納」の2つがある

通常、相続税は金額が大きいため一度に納めきれない人もいるでしょう。その場合の納税方法として、物納制度と延納の2つの方法が用意されています。

物納制度は文字の通り、相続などで得た価値ある財産(不動産や船舶・証券など)を納める方法です。

延納とは相続税を数年に分けて納める方法で、相続税額が10万円を超過する場合や納付が困難とする額の場合などに適用されます。

物納制度や延納も利用要件があるため、いずれの場合も税務署に相談すると良いでしょう。

参照元:国税庁

【1年以内】遺留分侵害額の請求

・提出期限:10年以内
・届出場所:家庭裁判所
・必要書類:申立書及びその写し,申立添付書類

被相続人が亡くなった際、遺言書にあまりにも不平等な内容の遺産分割が記載されていたらどうでしょうか。

例えば、被相続人が「私の全財産を長男に全て渡す」と遺言した場合、残りの相続人は誰も納得する人はいないでしょう。

そもそも遺留分とは遺留分権利者(一定の相続人)が、被相続人の資産・財産から法律上受け取ることができる最低限の取り分のことです。

被相続人が生前に、遺留分権利者以外に贈与や遺贈をしたばかりに、遺留分権利者が遺産を受け取れないことはあってはなりません。

法は、そうした「不平等な遺言」によって多額な財産(贈与あるいは遺贈)を受け取った人に対し、遺留分権利者は「遺留分の侵害」として侵害額に見合う額を請求することが可能としました。

これを遺留分侵害額の請求といいます。

もっとも、遺留分侵害請求ができる人は、①遺留分を侵害された人(兄弟姉妹以外の相続人にあたる人)、②遺留分を侵害された相続人の承継人(相続人や相続分譲受人)に限られます。

遺留分侵害請求にも期限があり、相続を知った日から10年以内に手続きを行う必要があります。(民法第1048条第1文)

遺留分侵害請求手続は非常に複雑なので、専門家に依頼したほうがスムーズに進むでしょう。

参照元:裁判所

【3年以内】死亡保険金の請求

提出期限:3年(かんぽ生命は5年)
届出場所:生命保険会社
必要書類:被保険者の戸籍抄本,請求書,受取人の印鑑証明,死亡診断書あるいは死体検案書,生命保険証券

亡くなった被相続人が、死亡保険の被保険者の場合、「死亡保険の受取人に記載」されている相続人が保険金を受け取れます。

生命保険の請求期間は、被保険者が死亡した日より3年間です。

死亡保険料の負担者と保険金受取人によって、次のように課税の対象になります。

被保険者 生命保険料の負担者 保険金受取人 税金の種類
A男 B子 B子 所得税
A男 A男 B子 相続税
A男 B子 C男 贈与税

このように、保険金の受取人が誰になるかで課税対象あるいは相続税の課税額が増減します。

死亡保険の受取は、被保険者の加入先の生命保険会社に連絡して死亡保険金を受け取りましょう。

不動産の相続登記

・提出期限:3年以内
・届出場所:不動産の所在地を管轄する法務局
・必要書類:登記事項証明書,被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本,被相続人の住民票の除票,相続人全員の戸籍謄本,遺産分割協議書,相続人全員の印鑑証明書,相続関係説明図,固定資産評価証明書,相続登記申請書

不動産の相続登記とは、不動産の所有者である被相続人の死亡によって、不動産の登記名義を被相続人から相続人に名義変更を行う手続きをいいます。

相続登記によって、名義が被相続人から相続人に変更になり、同時に不動産の所有者も変わることになります。

相続が開始していつまでも不動産の相続登記をしないでいると、将来的に、相続人同士で財産問題で険悪になることでしょう。

そこで、たとえ遺産相続協議によって法定相続分とは異なった相続分であっても、相続登記できちんと確定することで、第三者にも(この不動産は私のものです)と、明確に主張することができるのです。

さらに、亡くなった被相続人の名義のままで、勝手に不動産を売買することはできません。

このことからも、不動産の相続登記は必要不可欠な手続きになるため速やかに進めると良いでしょう。

なお、2024年4月1日より、不動産登記が義務化されているため、ご自身が被相続人の不動産の相続人の場合は、3年以内に相続登記を済ませるようにしましょう。

参照元:法務局

【5年10ヶ月以内】相続税の還付金請求

提出期限:5年10ヶ月
届出場所:税務署
必要書類:相続税申告書,修正申告書

相続手続きは、人生において何回も経験するものではありませんが相続税の手続きも同様です。

相続税の申告時に、相続人が多く申請し過ぎてしまったり、相続税に不慣れな税理士によって相続税が「過払い」状態になる場合もあるのです。

こうした払い過ぎた相続税を税務署から返金してもらう手続きを「相続税の還付金請求」あるいは「相続税の更正の請求」といいます。

ただし、相続税の還付期限として、相続開始から5年10ヶ月以内と規定されているため、相続税対策に強い税理士に相談すると良いでしょう。

相続手続きの期限のまとめ

親族が亡くなると、深い悲しみの中でも親戚や知り合いへの連絡をはじめ、葬儀社への対応を行うことになります。

さらに、相続手続には期限付きの手続きも多く心身ともに疲弊の日々のことでしょう。

こうした手続きをご自身だけで行うことは非常に困難なため、行政書士などの専門家に依頼する必要もでてきます。

専門家は相続手続きのプロなのでスムーズに対処してくれることでしょう。

今のお辛い気持ちも聞いてもらいながら、安心して相続手続きを進めてくださいね。

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