遺留分侵害額請求されたらどうする?知っておくべき注意点も解説
遺留分侵害額請求を受けた場合は、まず請求者が権利を持つ相続人か、請求期間が時効を過ぎていないか、計算方法が正しいかを確認する必要があります。
本記事では協議・調停・訴訟へ進むプロセス、弁護士に依頼するタイミング、合意書作成時の留意点など、請求への適切な対応手順と注意点を具体的に解説します。
遺留分侵害額請求されたらどうすればいいか

遺留分侵害額請求を受けた際には、いくつかの確認すべきポイントが存在します。これらの確認を行うことで、適切な対応を取るための基盤を築くことができます。
請求元が遺留分を主張できる正当な権利を持っているか確認する
遺留分侵害額請求を受けた際には、まず請求元が遺留分を主張できる正当な権利を持っているかを確認することが重要です。遺留分を主張できるのは、故人の相続人に限られます。
したがって、請求者が実際に相続人であるかどうかを確認する必要があります。相続人には、配偶者、子供、親、兄弟姉妹などが含まれますが、相続人の地位は法定相続分に基づいて決まります。
また、請求者が相続人である場合でも、相続権が放棄されている場合や、相続人としての資格がない場合も考えられます。これらの点をしっかりと確認することで、請求の正当性を判断する手助けとなります。
遺留分侵害額請求が時効になっていないか確認する
遺留分侵害額請求には、請求権の行使に時効が存在します。一般的に、遺留分侵害額請求権は相続開始を知った日から1年、または相続開始から10年で時効が成立します。
このため、請求を受けた際には、まず請求者がこの時効期間内に請求を行っているかを確認することが重要です。もし時効が成立している場合、請求は無効となるため、法的な対応を検討する必要がなくなります。
遺留分の算定が正しいか確認する
遺留分侵害額請求を受けた際には、請求元が主張する遺留分の算定が正確であるかどうかを確認することが重要です。
遺留分は、相続人が法定相続分に基づいて受け取ることができる最低限の相続分であり、遺言や生前贈与によって影響を受けることがあります。具体的には、相続財産の総額を算定し、そこから各相続人の遺留分を計算する必要があります。
また、遺留分の算定には、特別受益や寄与分の考慮が必要です。特別受益とは、生前に相続人が受けた贈与のことで、これを考慮しないと正確な遺留分が算定できません。
請求元が特別受益にあたる生前贈与を受けているかの確認をする
遺留分侵害額請求を受けた際には、請求元が特別受益に該当する生前贈与を受けているかどうかを確認することが重要です。特別受益とは、相続人が故人から生前に贈与された財産のことで、これがある場合、遺留分の計算に影響を及ぼします。
具体的には、特別受益を受けた相続人の遺留分は、その受けた贈与額を考慮して減額されるため、請求元の権利が正当かどうかを見極める必要があります。
生前贈与の内容や金額を把握するためには、故人の財産状況や贈与の時期、贈与された財産の評価額などを確認することが求められます。これにより、請求元が本当に遺留分を侵害されているのか、またその請求が妥当であるかを判断する材料を得ることができます。
遺留分侵害額請求されたら弁護士などのプロに相談する
遺留分侵害額請求を受けた際には、専門的な知識を持つ弁護士に相談することが非常に重要です。相続に関する法律は複雑であり、適切な対応をしなければ、思わぬ不利益を被る可能性があります。
弁護士は、請求の正当性や計算方法の妥当性を確認し、必要に応じて交渉や調停、訴訟の手続きをサポートしてくれます。また、弁護士に依頼することで、感情的な対立を避け、冷静に問題を解決することが可能になります。
特に、相続人間の関係が悪化している場合には、専門家の介入が効果的です。早めに相談することで、適切なアドバイスを受け、最善の解決策を見つけることができるでしょう。
遺留分侵害額請求されるときの流れ

遺留分侵害額請求が行われると、いくつかのステップを踏むことになる可能性があります。各ステップでの適切な対応が求められるため、正しい知識を身につけておきましょう。
相続人間での話し合いが始まる
遺留分侵害額請求を受けた場合、まずは相続人間での話し合いが重要です。この段階では、請求内容やその根拠について詳しく話し合うことが求められます。
相続人同士でのコミュニケーションを通じて、誤解や感情的な対立を避けることができるため、冷静に状況を整理することが大切です。
話し合いでは、請求者が主張する遺留分の額やその計算方法についても確認し、必要に応じて専門家の意見を求めることが有効です。
遺留分侵害額請求調停を申し立てられる
遺留分侵害額請求が行われた場合、相手方が調停を申し立てることがあります。基本的に相手方の住所地の管轄裁判所に申立てますが、当事者同士の合意があれば他の裁判所でも可能です。
調停の目的は、双方が納得できる解決策を見つけることです。調停が申し立てられると、調停委員が当事者双方の主張を個別に聞き、調整してくれることが特徴です。
また、調停室には申立人と申し立てられた側が交互に入室するので、直接顔を合わせずに話を進めることができます。
遺留分損害額請求訴訟を起こされる
遺留分侵害額請求が解決しない場合、最終的には遺留分損害額請求訴訟が提起されることがあります。この訴訟は、請求者が法的手段を用いて遺留分の権利を主張するものであり、相続人間の争いが法廷に持ち込まれることになります。
訴訟の過程では、相手方の主張に対して反論を行う必要があり、適切な証拠を提出することが重要です。また、訴訟は時間と費用がかかるため、早期に解決を図るための話し合いや調停を検討することも一つの手段です。
遺留分侵害額請求されたときの注意点

遺留分侵害額請求を受けた際には、いくつかの重要な注意点があります。これから説明するポイントを押さえて、適切な対応を心掛けましょう。
相手の要求を無視しない
遺留分侵害額請求を受けた際、まず重要なのは相手の要求を無視しないことです。請求を受けた場合、感情的になりがちですが、冷静に対応することが求められます。
相手の主張をしっかりと受け止め、どのような根拠で請求がなされているのかを理解することが第一歩です。無視や放置をすると、後々のトラブルを招く可能性が高まります。
そのため、相手とのコミュニケーションを大切にし、必要に応じて専門家の助言を仰ぐことも検討しましょう。適切な対応をすることが、問題解決の第一歩になります。
相手の主張する遺留分額を鵜呑みにしない
遺留分侵害額請求を受けた際、相手が主張する遺留分額をそのまま受け入れることは避けるべきです。請求者が提示する金額には、誤りや不正確な計算が含まれている可能性があります。
特に、遺留分の算定には複雑な要素が絡むため、相手の主張が正当であるかどうかを慎重に検討する必要があります。具体的には、遺留分の計算に用いる財産の評価額や、相続人の数、特別受益の有無など、さまざまな要因が影響します。
これらの要素を無視して相手の主張を鵜呑みにすると、結果的に不利な条件で合意してしまうリスクがあります。したがって、専門家の意見を求めることや、自身で計算を行うことが重要です。
寄与分は遺留分額の計算には影響しない
遺留分の計算において、寄与分は考慮されないことを理解しておくことが重要です。寄与分とは、相続人が被相続人の財産形成に特別な貢献をした場合に認められる権利であり、通常は遺留分の算定に影響を与えません。
つまり、寄与分があるからといって、遺留分が減少することはないのです。このため、遺留分侵害額請求を受けた際には、寄与分の存在を理由に請求額が不当であると主張することはできません。
まとめ
遺留分侵害額請求は、相続において非常に重要な問題です。請求を受けた際には、まず請求者の権利や請求の時効、算定方法を確認することが不可欠です。
また、弁護士などの専門家に相談することで、適切な対応が可能になります。相続人間での話し合いや調停、訴訟の流れを理解し、冷静に対処することが重要です。これらのポイントを押さえて、円滑な相続手続きを進めましょう。