遺言書作成は公正証書によって進めたほうがいい3つの理由|【大阪の相続相談】相続手続・遺言書作成『北大阪相続遺言相談窓口』

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公正証書遺言書とは?公証役場で個人(自分)で作る方法と遺言効力を解説

「公正証書遺言書を作りたいけれど、何をどうするのかわからない…」と不安を抱える人もいるでしょう。

公正証書遺言書のメリットは、何といっても「無効になるリスク」が低く、「遺言者の意思を実現してくれる」ことといえます。

公証役場で公証人が作成する公正証書遺言は、専門家に頼らず、ご自身だけで手続きを行うことも可能です。

本章では、ご自身が公証役場に出向いて遺言作成する方法を、わかりやすく解説します。

公正証書遺言書の作成手順や注意点もわかるので、ぜひ最後までご覧になり遺言書作成の参考にしてください。

公正証書遺言書とは

公正証書遺言書とは、次のような遺言書をいいます。

  • 公証役場で公証人が作成する
  • 遺言作成には証人2人の立ち合いが必要

公正証書遺言書は公証人が作成するため、形式を欠いて無効になることは「ほぼ」ありません

公証人は遺言書を作成するにあたり、遺言者の明確な本人確認や意思能力、そして遺言内容が遺言者自身の真意かどうかを確認するため、将来的に遺言効力が問題になる恐れもありません。

ここでは、公正証書遺言書についてわかりやすく説明します。

公正役場で公証人が作成

公正証書遺言書の作成は、公証役場で公証人が作成しますが、そもそも公証役場とは一体何でしょうか。

公証役場とは法務省が管轄する「法的な手続きを行う国の機関」をいいます。

遺言書の作成はもちろん不動産の売買契約や委任状の作成など、公証役場での手続内容は実に広範囲です。

他方、公証役場には法務大臣が任命する「法律の専門家」常住しています。

この「法律の専門家」が「公証人」と呼ばれており、「裁判官や検察間・弁護士・法務局長」などの経験者から成りたっています。

公正証書遺言は、これら法的な権限を持つ公証人によって作成される公文書をいいます。

【下記の記事では、自筆証書遺言書と公正証書遺言書の違いがわかります】

遺言作成には証人2人の立ち合いが必要

公正証書遺言の作成には、遺言者の意思を確認し、遺言手続きが正当に行われたことを証明するため、証人2人の立ち合いが義務づけられています。

証人の手配は、遺言者自身で用意する必要がありが、見つからない場合は公証役場で紹介してもらえます。

なお、専門家に遺言書作成の文案のアドバイスを受けている人は、専門家に証人の依頼が可能です。

ただし、次に該当する利害関係者は証人にはなれません。

・未成年者
・推定相続人
・遺贈を受ける者(受遺者)
・推定相続人及び遺贈を受ける者の配偶者及び直系血族
・公証人の配偶者
・四親等内の親族
・書記及び雇い人
民法第974条

証人として利害関係者が立会うと、遺言書そのものが無効となるので注意が必要です。

【下記の記事では、証人2人の役割が具体的にわかります】

公正証書遺言書の効力(メリット)とは?

公正証書遺言書の主な効力(メリット)は次の9つです。

  1. 公正証書遺言は信用性の深い遺言書
  2. 公証人の関与により無効になるリスクが低い
  3. 相続人間がもめることなく相続手続きができる
  4. 相続人は遺産分割協議を行う必要がない
  5. 家庭裁判所による検認手続きが不要
  6. 文字がかけない・会話ができない・聞こえが悪い人でも遺言作成ができる
  7. 相続人に対し遺言内容を秘密にできる
  8. 公証人が自宅や病院などの出張が可能
  9. 遺言書の原本を公証役場で保管してもらえる

ここでは、公正証書遺言書の主な効力を確認しましょう。

【下記の記事では、遺言作成を公証証書にするべき理由がわかります】

【効力①】公正証書遺言は信用性の深い遺言書

公正証書遺言書は、法的な手続きのもとで公証人によって作成されるため信頼性が高く、「改ざん」や「隠蔽」等の恐れはありません。

もっとも、公証人は中立・公正な立場から「国民の権利保護」及び「紛争を事前に予防する使命」を担う法律家です。

遺言者の意思を確認するために手続きも遵守され、裁判所も遺言書が法的に有効であると見なす可能性が高まります。

また、公正証書遺言書の作成には証人2人が立ち会うことで、より一層、遺言者の明確な意思表示や遺言の正当性が強固になり、後に遺言書の無効を主張することは困難です。

【効力②】公証人の関与により無効になるリスクが低い

公正証書遺言書は、公証人が遺言者から依頼を受けて作成する公文書です。

公証人は裁判官や検察官・弁護士等から法務大臣が任命した専門家のため、公証人が作成した公正証書遺言書は、形式を欠いて無効になることはありません。

公証人が遺言書を作成するにあたり、遺言者の印鑑証明書や運転免許証・パスポートなどで厳格に本人確認を行い、遺言者の意思能力の明瞭さ、あるいは遺言内容が遺言者の真意に基づいたものなのかを慎重な判断を施します。

そのため、将来的に遺言書作成の真偽性を問われたり、遺言者の能力を疑われたりするよう事態が生じても、遺言の効力が争われることは極めて低いといえるでしょう。

【効力③】相続人間がもめることなく相続手続きができる

公正証書遺言書を遺すことで、遺言者の死亡後も相続人同士がもめることなく相続手続きを行えます。

例えば、父の死亡後、母も他界した状況で兄弟2人が自宅(時価2,500万円)と預貯金(1,800万円)を相続したとしましょう。

法定相続分の規定により、兄弟は不動産を2分の1の割合で相続し、預貯金も1人が900万円ずつ分配されることになります。

公正証書遺言書を遺していない場合、一つの不動産を2人で共有することになるため、不動産の売却がしにくくなる他、兄弟の一方が不動産に住み続けると、もう片方には相当額の賃料費用を払う必要もでてきます。

こうした面倒な事態を防ぐためにも、公正証書遺言で「自宅は兄に相続させる。弟には全預貯金を相続させる」といった明確な遺言書を作成することで、不動産の共有問題も防ぐとともに、兄弟同士(相続人同士)のトラブルを回避できるのです。

公正証書遺言書によって、相続人への分割割合や分割方法を明確にすることで、後々のリスクを回避することが可能です。

【効力④】相続人は遺産分割協議を行う必要がない

公正証書遺言書を作成することで、遺言内容に基づいた「正確」な財産分与が行われます。

それにより、相続人への資産・財産の継承がスムーズに行き渡るため遺産分割協議を行う必要はありません。

相続税の申告や納付期限は、遺言者の死亡を知った翌日から10ヶ月以内と規定されており、申告期限を超過すると税制上優遇される制度の利用が使えなくなります。

10ヶ月以内で被相続人(死亡した遺言者)の財産を総洗いし、全相続人が揃って遺産分割への話し合いを持つことは、大変な労力と心労がかかることでしょう。

さらに、「誰に」「どの財産を」「どの割合で分けるのか」といった問題でトラブルに発展し、遺産分割協議が難航する恐れもでてきます。

上記の視点からも、公正証書遺言書は残った相続人への最後の孝行といえるのです。

【効力⑤】家庭裁判所による検認手続きが不要

公正証書遺言書は家庭裁判所での検認手続きが不要なので、遺言者の死亡後、ただちに相続手続きに入ることができます。

検認とは、遺言書の「開封手続き」を指し、自筆証書遺言書では、遺言者の死亡後に家庭裁判所に出向いて「検認手続きの申立て」を行い、検認当日には遺言書の原本を提出して検認手続きを行う必要があります。

検認によって相続人に遺言の存在と遺言内容を知らせるとともに、遺言書の形状や加除訂正の状態、あるいは日付・署名など現在の遺言書の内容を明確にします。

これにより、遺言書の偽造や変造を防ぐことができるのです。

ただし、封印された遺言書を見つけた場合、家庭裁判所で検認手続きを経て開封されるため、勝手に開けることはできません。

検認手続きは、申立てから完了までおよそ1ヶ月程度かかります。

自筆証書遺言書では、検認手続きを経なけらば、不動産の相続登記を申請しても、法務局で受け付けてもらえないほか、家庭裁判所外で開封すると、5万円以下の過料に罰せられるため注意が必要です。

【下記の記事では、検認とは何かについてより具体的にわかります】

【効力⑥】文字がかけない・会話ができない・聞こえが悪い人でも遺言作成ができる

公正証書遺言書は、ご病気等で文字書きをするのが困難になったり、会話の難しい人や聞こえの不自由な場合でも、遺言書の作成が行えます。

文字を書くことが難しい場合には、公証人がその旨を公正証書遺言書に記し、公証人が遺言者の氏名を代わりに代筆後、遺言者に押印してもらいます。

(※押印も難しい場合は、遺言者の意思に沿い、公証人が遺言者の前で遺言者の代わりとして押印することも可能です)

会話が難しい場合には、遺言の趣旨を通訳人の通訳や自書することで、公正証書遺言書の作成が可能です。

聞こえの不自由な人には、公証人の読み聞かせに代えて、通訳人の手話通訳あるいは筆記した書面の閲覧をすることで、公正証書遺言書の作成が行えます。

これらは法律によって規定されており、お身体が不自由な人でもご自身の意思を遺言に託すことができるのです。

【効力⑦】相続人に対し遺言内容を秘密にできる

公正証書遺言書の作成は、遺言者の利害関係のない証人2人と公証人のみが関与するものです。

通常、遺言者自身が遺言内容を相続人に話さない限りバレる心配はありません。

公証人については、依頼者の秘密を守る義務があるため外部に漏れる心配はありません。

証人2人について、一般的に遺言作成のサポートを受ける「専門家に証人を依頼」する場合が多く、やはり守秘義務遂行のため遺言内容が漏れる心配は無用です。

一方、証人を自身の友人や知人に託した場合、たとえ信頼する人でも秘密を維持できるとは限らないでしょう。

その場合でも、「絶対に外部に話さないで欲しい」と念を押すようにしましょう。

【効力⑧】公証人が自宅や病院などの出張が可能

公正証書遺言書は公証役場以外の作成が認められています。

そのため、ご病気等で公証役場に出向けない場合でも、病院や介護施設・ご自宅などに公証人が出向いて遺言書を作成してもらえます。

ただし、どこでも出張できる訳ではなく、公証人の管轄区域(管轄する法務局や地方法務局)内に限られます。

公証人の出張には手数料がかかるため、利用する公証役場に確認してみてください。

【効力⑨】原本を公証役場で保管されるため紛失や偽造の恐れがない

公正証書遺言書の作成後、正本と謄本は遺言者に渡されますが、原本は公証役場で20年間保管されます。(公証人法施行規則第27条1項1号・2号

そのため、遺言書が第三者に破棄されたり紛失などの恐れはありません。

なお、1989年以降に作成された公正証書遺言書の場合、日本高所人連合会では日本全国の公正証書遺言書をのデーターをコンピューターで登録・管理されています。

ですので、相続人などの利害関係者は、公証役場の公証人を通じて公正証書遺言の有無、あるいは公正証書遺言を作成した公証役場や公証人・遺言作成年月日などの紹介を依頼することができます。

こうして遺言書の存在が把握できた場合、相続人等は謄本を再発行してもらえます。

公正証書遺言を個人(自分)で作成するまでの11の手順

公正証書遺言書は「専門家に文案のサポートを受ける」場合と、「遺言者自身が公証役場に直接出向いて作成する」方法に分けられます。

前者は、遺言内容をある程度確定させ、専門家が公証人に対して「あらかじめ遺言書の文案を提案」するものです。

この場合、専門家によって公証役場での手順が異なるため、ここでは遺言者自身が公証役場に出向いて作成する「一般的な11の手順」をみてみましょう。

  1. 遺言内容の文案(メモ)をまとめておく
  2. 事前に遺留分を考慮する
  3. 遺言執行者を指定する(公正証書遺言のもめるリスクを回避)
  4. 公正証書遺言書の証人2人を依頼する
  5. 公証役場に相談日時を予約する
  6. 公正証書遺言の必要書類を準備する
  7. 公証人と事前に打ち合わせを行う
  8. 公証役場で公正証書遺言書を作成する
  9. 公正証書遺言書の完成(署名・押印)
  10. 公正証書遺言の諸費用の支払い
  11. 公正証書遺言書の原本は公証役場に保存

【手順①】遺言内容の文案(メモ)をまとめておく

公正証書遺言の内容を決めるのは遺言者自身です。

遺言書を作成する前に、ご自身が所有する「相続したい財産」を以下のようにリストアップし、所有財産を正しく把握しておきましょう。

A銀行K支店250万円
B信用金庫M支店400万円
ゆうちょ銀行300万円
不動産(自宅)大阪府吹田市
生命保険(終身)●●生命保険会社▲▲支店
養老保険▼▼生命保険会社◆◆支店
自動車80万円 (大阪●●き●●● 車体番号▼▼▼)

このほか骨董品や貴金属など、お金に替えて価値あるものは全て相続財産です。

相続財産の全体像が把握できたら、「誰に」「何を」「どの位相続させたいか」を具体的に決めていきましょう。

【手順②】事前に遺留分を考慮する

自身の死亡後の財産は、「定められた相続人」に、「一定の割合の財産」を「必ず残さなければならない」という「遺留分」の決まりがあります。

たとえば、「相続人のA子に全ての財産を譲る」などと遺言されたら、残りの相続人は許せるものではないでしょう。

そうした場合、相続人はA子に対して「遺留分に相当する一定の割合の財産を請求」することができるのです。

これを「遺留分侵害額請求」といいますが、遺言書の作成上、遺留分に考慮した遺言内容にすることが重要です。

(※詳しくは後述しております)

【手順③】遺言執行者を指定する(公正証書遺言のもめるリスクを回避)

遺言執行者とは、遺言者の意思を実行する人をいいます。

遺言内容のなかには子どもの認知や相続人の廃除、あるいは取消しなど、遺言者の死亡後に重要な手続きを行う場合もあるでしょう。

こうした手続きは「遺言執行者」の担当となり、あらかじめ遺言書に遺言執行者を指定することで、相続人への連絡や遺産分割等、様々な手続きを行ってもらえます。

なお、遺言執行者には、弁護士や行政書士などの専門家のほか、信託銀行などの法人も遺言執行者に指定することができます。

遺言執行者になると、相続人に遺言があることを連絡し、遺言の写しを送付したり相続財産を管理するなど、湯言執行に必要な一切の行為を行う権利義務を担います。

遺言執行者が就いた後は、相続人は財産処分などの執行を妨害することはできません。

遺言執行者を指定することで、相続人間のもめるリスクも回避できるとともに、遺言内容の実現に向けて確実な手続きを進めてくれるのです。

【手順④】公正証書遺言書の証人2人を依頼する

公正証書遺言書の作成には、証人2人以上の立ち合いが法律で規定されています。

証人の役割は、遺言者自身が意思に基づいて口述した遺言内容を、公証人が正確に記述したかを確認することです。

公正証書遺言書の原本には、証人2人の氏名・生年月日・住所のほか、署名・押印がなされるため、将来的に遺言の有効性が問われてときに証人として証言をする必要があります。

遺言者と利害関係のある人は証人にはなれないため、友人や知人に依頼することもできます。

ただし、親しい人に全財産や遺言内容を知られたり、場合によっては第三者に漏れるリスクも歪めません。

適当な証人が見つからない場合は、公証役場で証人を紹介してもらえます。(証人への手数料は、およそ10,000円程度必要です)

なお、専門家に遺言作成のサポートを受けている場合は、守秘義務を負う専門家や事務所の職員に依頼すると安心です。

証人2人は遺言手続きの最初から最後まで立ち会う必要があり、途中で席を外すと遺言書が無効になる恐れもあるため注意が必要です。

【下記の記事では、証人2人の役割と条件が具体的にわかります】

【手順⑤】公証役場に相談日時を予約する

公正証書遺言書の作成を目的として公証役場に出向く場合、事前に電話やメールで相談日時の予約をします。

全国の公証役場では、公正証書遺言書の作成手続きを行うには、原則的に予約制としているため、予約を入れないで出向くと、順番待ちで長時間待つ必要があります。

予約当日は、公証人に遺言相談ができるので、相談したい内容をメモしていくなど、時間を価値的に使えるように対処しましょう。

【手順⑥】公正証書遺言の必要書類を準備する

公正証書遺言書の作成に必要な書類は次の通りです。

  • 遺言者の実印
  • 証人2人の認印
  • 遺言者の印鑑証明書(3カ月以内のもの)
  • 遺言者の運転免許書やパスポートあるいはマイナンバーカード
  • 遺言者と相続人の関係がわかる戸籍謄本(甥や姪など、戸籍謄本だけでは遺言者との関係がわからない場合、続柄がわかるまで戸籍謄本が必要)
  • 受遺者(相続人以外の人で遺言者から遺産を受ける人)の住所地がわかる住民票やハガキなど
  • 固定資産税納税通知書または固定資産評価証明書(相続財産に不動産が含まれる場合)
  • 不動産の登記簿謄本
  • 預貯金口座がわかる通帳やそのコピー
  • 証人を自身で手配する場合、証人の住所・氏名・生年月日がわかる本人確認資料(運転免許書などのコピー
  • 遺言執行者の住所・氏名・生年月日がわかる本人確認資料(運転免許書などのコピー)

公正役場によって、書類の提出が若干異なる場合があるため、利用する公正役場で確認してください。

【下記の記事では必要書類や取得場所がわかります】

【手順⑦】公証人と事前に打ち合わせをする

公証役場にあらかじめ予約した日時にご自身だけで出向いて打ち合わせを行います。

ここでは、【手順①】を参考に、ご自身でメモした遺言書内容の文案を持参し、公証人と納得いくまで話し合いましょう。

公証人は公正証書遺言書を作成してくれますが、どの財産を誰にどのくらい受け継がせるのかを決めるのは、遺言者自身です。

また、遺言内容に、どういった遺言事項を入れたいのかも検討します。

例えば、相続人ではないもののお世話になった人に遺言で遺贈したい場合や、子供を認知したい場合など、遺言に含めたい内容を抜かりなく相談しましょう。

【手順⑧】公証役場で公正証書遺言を作成する

事前に予約した当日に、遺言者と証人2人は公証役場に出向きます。

作成日には遺言者の実印・証人になる人の認印の他、必要書類等を持参しましょう。

なお、遺言者がご病気などで公証役場に行けない場合、公証人が自宅や病院・介護施設などに出張できます。

ただし、公証人が出張できる範囲は決められており、公証人が所属する法務局(地方法務局)の管轄内での出張対応となります。

管轄外に公証人の出張を希望すル場合は、日本公証人連合会のホームページで該当する公証役場をご確認ください。

【手順⑨】公正証書遺言書の完成(署名・押印)

公正役場では、遺言者が公証人に遺言内容を口頭で述べ、その内容を公証人が筆記して、遺言者と証人2人に読み聞かせ、あるいは閲覧させます。

その後、遺言者と証人が公証人の筆記した遺言内容に誤りがないかを確認し、署名・押印します。

そして、最後に公証人が形式に則って作成したことを付記し、署名・押印を行います。

【手順⑩】公正証書遺言の諸費用の支払い

遺言者と証人2人そして公証人の署名・押印終了後、遺言者が公正証書遺言書の正本を請求すると、公証人が遺言者の請求により「いつ・どこで」原本に基づいて作成したのかを記載し、署名・押印された正本が交付されます。

その後、公証役場への手数料や証人2人の謝礼を支払って、公正証書遺言書の作成は終了します。

手続きにかかる時間は、公証人が遺言内容を読み聞かせてから諸費用の支払いまで、およそ30分程度で終わります。

【手順⑪】公正証書遺言書の原本は公証役場に保存

公正証書遺言書の原本は公証役場で保存され、原本に基づいて作成された正本や謄本は遺言者自身が保管します。

公証借場での保存期間は、原則20年間と規定されています。(公証人法施行規則第27条

ただし、実際には公正証書遺言書の作成から150年~170年と、半永久的に公証役場で保存されています。

公正証書遺言書が無効になるケース

「公正証書遺言書は公証人が作成するから無効にならないのでは・・・?」と疑問に思われるでしょう。

しかし、現実的に裁判所での判決の結果、無効になったケースは存在します。

例えば、公正証書遺言が無効になるケースは次の通りです。

  1. 遺言能力がなかった
  2. 証人が不適格(欠格者)だった
  3. 遺言者の口授が欠いていた
  4. 遺言作成中に証人が席を外した場合
  5. 詐欺や脅迫など強制的に遺言を書かされた
  6. 公序良俗違反となる問題があった

ここでは、公正証書遺言書が無効になる6つのケースをみてみましょう。

【無効①】遺言能力がなかった

遺言者は、遺言するときには「遺言能力」が必要不可欠です。

遺言能力とは、自ら遺言内容を決定し、その結果についてきちんと判断できる能力をいいます。

遺言者の死亡後、相続人同士のトラブルを防ぐために作成する遺言書ですが、後に無効になってしまっては意味がありません。

そのためにも、有効な遺言書作成が必須であり、遺言者が「確実に遺言能力が備わっていること」が重要な要件となります。民法第963条

なお、満15歳以上の人で正常な判断能力と意思能力があるならば、遺言書の作成は可能です。

判断能力が欠けるために「成年後見人」となっている人でも、判断能力を一時回復した場合には、医師2人以上が立ち会って、判断能力が欠ける状態になかったことを遺言書に付記・押印することで遺言書を作成できます。

【無効②】証人が不適格(欠格者)だった

公正証書遺言の作成には、法律上、証人2人の立ち合いが必要です。(民法第969条1号

一方で、次に挙げる人は証人になることはできず、遺言書作成は無効になります。

・未成年者
・推定相続人やその配偶者及び直系血族
・相続人以外に財産を譲り受ける人(受遺者)とその直系血族
・公証人の配偶者やその家族、あるいは4親等以内のその家族
・公証役場の職員や関係者、あるいは公証人の使用人

上記に該当する人(欠格者)が証人として立ち合い、公正証書遺言書を作成した場合、作成された遺言書自体が無効となります。(民法第1009条

なお、「推定相続人」とは、遺言書を書いた時点で、法定相続人の中でも第一位になる人をいいます。

推定相続人が配偶者と子どもの場合、遺言者の兄弟姉妹は証人になることが可能です。

【無効③】遺言者の口授が欠いていた

公正証書遺言書を作成する際、遺言者は公証人に遺言内容を口授で述べ、公証人は筆談した遺言内容を遺言者と証人に読み聞かせ、あるいは閲覧させて確認してもらう必要があります。(民法第969条2項)

この「口授」とは、自身の口で意思を述べるという意味になり、動作などのゼスチャーによって伝えることは認められておりません。

そのため、ご病気などで「発語が難しい(口がきけない)遺言者」の口授が問題となる場合があるのです。

具体的には、公証人が遺言内容の読み聞かせをしている場合に、遺言者がう単にうなずいたり、首を振るなどの「身振り」は、正当な口授とは認められていないため、公正証書遺言は無効になる恐れがあります。

身体の不自由な人などで、発語が難しい人は、公証人の前で自らの思いを筆談したり、通訳者からの申述によって意思を伝えることができます。(民法第969条)

同じく、聞こえの不自由な人も手話通訳や筆談などの遺言方法が認められています。

【無効④】遺言作成中に証人が席を外した場合

公正証書遺言の作成時、証人2人と公証人は終了まで立会わなければなりません。

証人のどちらか一方が席を外した状態で遺言書を作成すると、当該遺言書は無効になります。

万が一、誰かが席を外した場合は、遺言作成を一旦中断するなどの対処が必要です。

【無効⑤】詐欺や脅迫など強制的に遺言を書かされた

公正証書遺言は、あくまでも遺言者自身の意思によって作成されるものです。

そのため、ご自身の意思に反して家族や他人等から脅されて書いたり、騙される等して作成した遺言書は「無効」となります。

脅迫まがいで作成したような遺言書は、遺言者の生前中であれば「無効」や「取消し」「撤回」あるいは「新たに書き直し」を行います。

一方で、遺言者の死亡後は事実の証明が難しく、遺言書の無効は困難といえるでしょう。

【無効⑥】公序良俗違反となる問題があった

民法第90条では、「公序良俗に違反する行為」は無効としています。

例えば、配偶者のある遺言者が不倫関係にある者に財産を譲る(遺贈)といった遺言書を作成した場合、遺贈の目的が次の3つであるかが重要になります。

・遺贈の目的が不倫関係を維持及び継続させるために作成したものか

・不倫相手の生活を守るために作成したものか

・遺言内容が相続人の生活基盤を脅かす内容であるかどうか

もしも、遺言者の配偶者が居住する住まいを含む全財産を遺贈するような内容である場合、一般的に見ても到底許されるべき行為ではありません。

つまり、遺言者と不倫関係にある者への贈与は、公序良俗違反となり公正証書遺言書は無効になります。(参考:東京地裁昭和58年7月20日判決)

ただし、公正証書遺言書は公証人が注意深く作成するため、通常は避けることが可能です。

上記の遺言書が無効になった場合、遺言者の家族は各法定相続分によって遺産相続が行えます。

公証役場による公正証書遺言書の作成費用

ここでは、公正証書遺言を作成する際にかかる費用を紹介します。

公正証書遺言書作成の手数料の計算方法

公証人が公正証書遺言書を作成した場合の手数料は、政府が定めた「公証人手数料令」によって規定されています。

目的価額(財産の合計額)手数料
100万円以下5,000円
100万円を超え200万円以下7,000円
200万円を超え500万円以下11,000円
500万円を超え1,000万円以下17,000円
1,000万円を超え3,000万円以下23,000円
3,000万円を超え5,000万円以下29,000円
5,000万円を超え1億円以下43,000円
1億円を超え3億円以下43,000円に5,000円までごとに13,000円を加算
3億円を越え10億円以下95,000円に5,000円までごとに11,000円を加算
10億円を越える場合249,000円に5,000円までごとに8,000円を加算

出典:日本公証人連合会ホームページ

作成手数料は、財産価額によって異なります。

例えば、目的価額が500万円を越えて1,000万円以下の場合の手数料は17,000円です。

目的価額が3,000万円を超えて5,000万円以下の場合は29,000円が手数料になります。

こうした手数料は、各相続人ごとに目的価額を算出し、最終的な手数料を合算していきます。

依頼人への交通費の支払いなど、他に加算されるもの

次のケースでは、上記の表からそれぞれ加算していきます。

相続財産の総額が1億円以下(遺言加算)11,000円を加算
祭祀承継者を指定する場合(※お墓や仏壇等を守る人)11,000円を加算
遺言書の撤回11,000円を加算
公証人に出張してもらう場合
(※日当 4時間未満:10,000円,4時間以上:20,000円)
表より算出した2分の1の額を加算
公証役場から証人を紹介してもらう場合10,000円程度(1人当たり)
戸籍謄本や印鑑証明書等の取得費用1,000円~5,000円程度
専門家に遺言作成のサポートを受ける場合10~20万円程度

公正証書遺言書の財産額が1億円以下の場合、基本手数料のほかに11,000円が加算(遺言加算)されます。(手数料令第19条)


例えば、妻一人に財産総額2,500万円を相続させる場合、23,000円(上記の表を参考)に遺言加算費11,000円を加算して34,000円が公証人に支払う手数料になります。

23,000円(妻分)+11,000円(遺言加算)=34,000円(手数料額)
(※別途、謄本手数料が加算されます)

公正証書遺言書を作成する場合の注意点

公正証書遺言書を作成する際、次のように注意するべき点があります。

  1. 事前に遺言執行者を決めておく
  2. 遺言作成には遺留分の配慮が必要
  3. 公正証書遺言書の原本の持ち出しは厳禁
  4. 遺言相手が先に死亡したら?に備える(予備的遺言)

ここでは5つの注意点を確認し、「安心と確実」な遺言作成を行いましょう。

【注意①】事前に遺言執行者を決めておく

遺言執行者とは、遺言者の意思を実現する人のことを指し、遺言者の死亡後、遺言内容に従って手続きを行う人をいいます。

具体的には、相続財産の調査を行ったり、書類収集や不動産の名義変更、あるいは預貯金などの財産分配を担います。(民法第1012条1項

もっとも、「子どもの認知」や「相続人の廃除とその取消し」のように、遺言者の死亡後に一定の手続きが必要な場合もあります。

こうした手続きも「遺言執行者」が行い、弁護士や行政書士・司法書士などの専門家に依頼できます。

遺言者が一番に気掛かりとする「自分の死後の相続手続き」の不安も、遺言執行者を専門家に依頼することで、スムーズに解決してくれるでしょう。

【下記の記事では、書類作成の専門家の行政書士のメリットがわかります】

【注意②】遺言書作成は遺留分の配慮が必要

公正証遺言の作成には、常に「遺留分」を配慮しなければなりません。

遺留分とは(兄弟姉妹を除く)法定相続人に最低限保障される「法律上の一定割合の取り分」をいいます。

「兄弟姉妹やその子以外の相続人の生活や安定、あるいは最低限度の相続人間の公平を図るとともに、相続の権利を保障する」内容が遺留分です。

前述したように、遺留分は「法律上の一定割合の取り分」であり、相続人が誰なのかによって、下記の表のように「取り分」も異なります。(民法第1042条~1049条

相続人遺留分の割合各相続人の遺留分の割合
配偶者2分の1・配偶者(2分の1)
配偶者と子供一人2分の1・配偶者(4分の1)
・子供(4分の1)
配偶者と父母(どちらか一方)2分の1・配偶者(3分の1)
・親(6分の1)
配偶者と兄弟姉妹2分の1・配偶者(2分の1)
・兄弟姉妹(なし)
子供のみ2分の1・子供(2分の1)
親のみ3分の1・親(3分の1)
兄弟姉妹のみなし・兄弟姉妹(なし)

同順位の相続人(複数の子供がいる場合等)はそれぞれに等分されます。

例えば、配偶者と子供が2人いる場合は次のようになります。

※配偶者の法定相続分は2分の1、子供も2分の1です。「遺留分の割合」2分の1に、「各相続人の遺留分の割合」を乗じて計算します。

・配偶者の遺留分の割合:4分の1(2分の1×2分の1)

・子供の遺留分の割合:4分の1(2分の1×2分の1)

遺留分を侵害する「偏った」遺言内容の場合、遺留分を侵害された相続人は、贈与や遺贈を受けた人に対し、相続財産に含まれる不動産や金銭の返還を請求できます。

こうした請求を「遺留分侵害額請求」と呼び、遺留分を侵害する限度額内でお金を返還する必要があります。

遺言作成を専門家のアドバイスを受けない「自筆証書遺言書」の場合、遺留分を侵害する遺言内容を作成する場合もあります。

この場合、本来受け取れるはずの財産が渡らないことで、相続人同士のトラブルになりやすく、「相続が争族」になりかねません。

後々の紛争を回避するためにも、事前に専門家のアドバイスを受けたり、ご自身での文案作成後、専門家に確認してもらうことで遺留分を侵害する心配も無用になります。

【下記の記事では法定相続分と遺留分について具体的にわかります】

【注意③】公正証書遺言書の原本の持ち出しは厳禁

公正証書遺言書の原本は、公証役場で厳格に保管されており、原本の持ち出しは原則的に厳禁です。

もっとも公正証書遺言書の原本は、20年間は公正役場に保管されるとともに、その後も半永久的に保管されています。

原本の持ち出しができない理由として、公正証書遺言書を紛失したり、改ざんされるなどのリスクを防ぐための対策の一つです。

また、原本の保存期間経過後に、遺言者が正本や謄本を紛して再交付を請求されても速やかに対処できるためでもあります。

正本などの再交付は、超高齢化社会に適した対策の一つといえるでしょう。

【注意④】遺言相手が先に死亡したら?に備える(予備的遺言)

例えば、遺言者が長男・次男・長女(各々結婚しており子供もいる)に財産を相続させることを遺言した場合、長女が遺言者よりも早く死亡したとします。

遺言者は死亡した長女の財産を「長女の子(いわゆる遺言者の孫)」に相続させてあげたいところでしょう。

しかし、こうした内容を遺言書に記載しない限り、長女の相続分は効力は発生せず「無効」になってしまいます。

結果的に、長女の相続分は相続人全員で遺産分割協議行い、法手相続分に則って長女の取り分は分配されます。

思いも寄らない事態を回避するためにも、遺言書には次のように記載すると良いでしょう。

①遺言者が所有する●●の財産を、長女に相続させる」との主要な遺言と一緒に、

②遺言者より先に長女が死亡した場合、あるいは同時に死亡した場合は、長女の子供がその財産を平等に相続させる

このように具体的な遺言内容を遺すことで、万が一、遺言者と同時に(あるいは先に)長女が死亡しても、長女の子供達に同じ割合の財産が相続させることができます。

こうした予備的に記載する遺言書を「予備的遺言」と呼び、相続人に限らず、遺贈する相手が先に死亡した際にも遺言によって予備的に財産を相続させたい相手を決めておくことができます。民法第994条

なお、前述の例ては、長男や次男が相続人より先に死亡した場合も、それらの相続分が無効になるために、相続させようとした財産をその子供に渡す旨を遺言で遺すことができます。

【下記の記事では「予備的遺言」をより詳しく説明しているのでご覧ください】

公正証書遺言書の作成を専門家に依頼するメリット

公正証書遺言書の文案作成を、専門家に依頼することで、法的にも問題のない遺言書が遺言書が実現できます。

専門家に遺言者の悩みや思いを包み隠さず伝え、相続人の状況などを把握してもらうことで、自身の意思に最適な文案を作成してもらえるでしょう。

もちろん、形式面で誤りを生じない遺言作成が可能であり、遺言者の相続財産や全体像を捉えた中で、的確なアドバイスも受けれます。

もっとも、公正証書遺言書の作成には提出書類も多く、遺言者だけではなく、相続人の戸籍や住民票・登記簿なども必要です。

こうした書類は、それぞれ管轄する役場が異なるため、資料の取り寄せに大変な労力と手間がかかりますが、専門家は職権によって迅速に取得することが可能です。

また、専門家は証人や遺言執行者に依頼することができ、遺言相談から終わりまで一貫して「遺言者に寄り添い」続けてくれるのが大きなメリットといえるでしょう。

公正証書遺言書のまとめ

公正証書遺言の作成を個人で進めていくには、次の5つの手順を踏むことが重要です。

  1. 遺言書の文案を作る
  2. 必要書類を間違いなく収集する
  3. 証人2人を探して依頼する
  4. 公証役場で公証人と打ち合わせを行う
  5. 公証役場に出向き、公正証書遺言書を作成する

遺言作成の注意点を確認した上で、まずは「誰に」「何を」「どのくらい相続させたいのか」を明確にして遺言作成に取り組んでみましょう。

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