相続税申告に必要な書類チェックリスト
「相続税の申告にはどんな書類が必要?」
「何から手を付ければよいのかわからない。」
そのようなお悩みを持つ方はたくさんいらっしゃるかと思います。今回は、相続税申告を円滑に進めたいと考えている方に向けて、
・相続税申告で必要となる主な書類
・書類ごとに注意すべきポイント
・書類準備を効率よく進めるためのチェックリスト
について解説いたします。
相続税申告に必要な基本書類
相続税申告を行う際、まずどんな状況の相続人にも必要となるものがあります。これらの基本書類を揃えて、申告手続きを進めることとなります。必要な書類が不足していると、申告が遅れてしまったり、最悪の場合はペナルティが発生するリスクもあります。
全ての相続人が用意すべき必須書類
相続税申告をする際、基本的に以下の書類が必要となります。
・戸籍謄本
・住民票
・被相続人の死亡届受理証明書
上記の他にも別途、相続開始を証明するための書類が必要となります。戸籍謄本が必要な理由としては、相続にあたっては、被相続人の出生から死亡までを証明する必要があるからです。そして住民票を取得する際には、相続人全員分と被相続人の除票が必要です。また、遺言書がある場合はその原本と検認済証明書も提出対象となります。
預貯金がある場合に必要な書類
預貯金がある場合には以下の書類が必要となります。
・金融機関ごとの残高証明書
・通帳のコピー
これらの書類が必要となる理由としては、被相続人が亡くなった時点での正確な預貯金残高を証明する必要があるためです。残高証明書は各銀行や信用金庫の窓口で発行してもらえますが、手続きには死亡届の写しや相続人の身分証明書が求められる場合が多いです。
「〇〇銀行の口座があったはずだが、どの支店で取引をしていたのかはわからない。」というような方も多くいらっしゃるかと思います。その場合には、通帳やキャッシュカード、郵便物などを手がかりに調べることになります。普通預金の他、定期預金や定額貯金を利用されている方も多いため、忘れずに確認しましょう。もし確認漏れがあった場合、正確な申告ができず、後から追加の手続きが必要になることもあります。
不動産が含まれる場合に必要な書類
相続税申告で不動産が含まれている場合はどうでしょう。まず、登記事項証明書(いわゆる登記簿と呼ばれるもの)が必要です。登記事項証明書は土地や建物の所有者や面積、所在地などの情報を証明する書類で、法務局で取得できます。
次に、固定資産評価証明書も必要です。これは市区町村役場で交付されるもので、不動産の評価額を判断する基準となります。そのほか、固定資産税納税通知書も、評価額の確認や税額計算の参考になるため、用意しておきましょう。
不動産の分割がある場合は「公図」や「地積測量図」も役立ちます。
葬儀費用に関する書類
葬儀費用、これは相続財産から差し引き、課税額を減らすことができます。そのため、葬儀費用に関する書類は、相続税申告で控除を受けたい場合には、必ず準備しておきましょう。具体的には、葬儀社から発行される領収書や請求書、火葬許可証、寺院などへの支払い分が該当します。
ただし、香典返しや法要費用などは控除の対象外となるためご注意ください。
そして手続きのため、領収書を保管しておきましょう。領収書が見つからない場合は、支払い先に再発行を依頼することができる場合もあります。

財産内容別の必要書類
生命保険金や死亡退職金がある場合
生命保険金や死亡退職金を相続する場合、これらの金額も相続税申告の対象となります。相続人の受け取った金額や、支給日、受取人の氏名などを証明するため、以下のような書類が必要となります。
・生命保険金の受取証明書
・保険会社が発行する支払通知書
・死亡退職金については勤務先から発行される支給明細書や支給決定通知書
それぞれの書類の取得方法については、保険会社や勤務先に問い合わせをしてみましょう。
有価証券を所有している場合
相続税申告で有価証券を所有している場合、証券会社や金融機関が発行する残高証明書や取引明細書が必須です。なぜなら、株式や投資信託などの評価額は申告時点の時価で計算しなければならず、正確な評価のためには公式な証明が求められるからです。
申告漏れを防ぐため、これらの書類は必ず取り寄せるようにしてください。書類が整わない場合、相続税の計算ミスにつながるリスクもあります。そして、上場株式の場合は証券会社の取引報告書、非上場株式の場合は会社の決算書や株主名簿も必要になる場合があります。
負債がある場合に必要な書類
相続税申告で負債が見られた場合には、どのように手続きをすればよいでしょう。この場合、プラス財産だけでなく、借入金や未払い金などのマイナスの財産も正確に申告しなければなりません。負債を含めて正しく申告することで相続税の計算上、課税対象となる財産額を減らすことができるからです。
負債に関する必要書類としては以下のようなものが挙げられます。
・借入金の残高証明書
・クレジットカードの未払い明細
・住宅ローンの返済予定表
・未払医療費の領収書や請求書
・自動車ローンの返済予定表
負債を証明できる書類がない場合、税務署から指摘を受けてしまうリスクがあるため、必要書類は早めに金融機関や関係先に問い合わせて手配しましょう。
相続税を軽減するための書類
配偶者の税額軽減を利用する場合
配偶者の税額軽減を利用する場合、配偶者が相続した財産のうち、一定額までは相続税がかからない特例を受けることができます。参照「配偶者の税額の軽減」国税庁
これを適用するには、配偶者の戸籍謄本や婚姻関係証明書、遺産分割協議書、相続財産の明細書などの書類が必須です。そして、遺産分割協議書には全ての相続人の署名と実印が必要です。遺産分割につき現状は未分割であるという場合は仮申告となり、後日修正申告が求められることもあります。
小規模宅地等の特例を適用する場合
小規模宅地等の特例を適用する場合、専用の書類を必ず準備する必要があります。結論として、この特例を申告で利用するには、対象となる宅地が「被相続人の自宅や事業用地であったこと」を証明する書類や、相続人が相続開始時から一定期間その土地に住んでいることを示す住民票などが求められます。
なぜなら、特例の適用を受けるためには厳格な条件が定められており、その要件を満たすことが必要だからです。主な必要書類としては、以下のものが挙げられます。
・被相続人と相続人双方の住民票
・戸籍謄本
・固定資産税評価証明書
・登記事項証明書
・特例適用を申請する旨の明細書
これらを事前に準備し、申告手続きをスムーズに進めましょう。
申告期限と準備のポイント
10ヶ月以内に準備すべき書類
相続税申告の手続きは、被相続人が亡くなった日から10ヶ月以内に申告をすることが必要です。申告期限を過ぎると、余計な税金を支払うリスクが生じます。
この10ヶ月の間に準備すべきと考えられる主な書類を参考に挙げてみます。
・被相続人と相続人全員の戸籍謄本
・遺言書や遺産分割協議書
・財産の内容ごとに通帳のコピー
・不動産の登記事項証明書
・生命保険金や有価証券の証明書や明細書
書類の揃え方としては、まずは戸籍謄本や預貯金関係から始めるのがよいでしょう。手続きについて分からない点がある場合には、専門家に問い合わせをするのもおすすめです。
期日までに間に合わない場合の対処法
相続税申告の準備が間に合わない場合、期日の延長はしてもらえるのか。これは「原則として期限の延長はできない」という回答となります。
やむを得ない事情で書類が揃わない場合では、まずは期限内にできる限りの必要書類を揃えて申告書を提出することが重要です。不足分については「期限後提出」として後日追加提出が認められる場合もあります。
また、申告期限を過ぎてしまった場合でも、必ず申告は行う必要があります。不明な点がある場合は、専門家である税理士に問い合わせをしたり、税務署の無料相談を利用するという方法も有効です。
相続税申告に関するよくある質問
相続税申告が必要かどうかを判断する方法
相続税申告が必要かどうかの判断はどのように行えばよいでしょうか。これにはまず、被相続人(亡くなった方を指します)の遺産総額が基礎控除額を超えているかを確認することが必要です。
基礎控除額は「3,000万円+600万円×法定相続人の数」で計算できます。たとえば相続人が2人の場合、4,200万円が目安となります。遺産には現金や預貯金、不動産、株式、生命保険金などが含まれるため、もれなく全ての財産をリストアップしましょう。
そして、遺産の合計額が基礎控除額をわずかに上回る場合でも、申告義務が発生します。上記の例であれば、預金、相続不動産などの合計額が4,200万円を超える場合は申告を要します。逆に、基礎控除額以下なら申告は不要であるといえます。
相続税申告に関する無料相談の活用法
遺産が多ければ、相続税の申告も複雑になりがちです。その場合は、専門家である税理士に相談をしたり、もしくは、税理士会や市区町村の無料相談会などを利用するのも便利です。相談をする際には、預金、相続財産といった被相続人の財産内容や相続人の家族構成、これまで取り寄せをしてきた取得済の書類などをまとめて持参すると、より具体的なアドバイスが受けられます。
まとめ:相続税申告に必要な書類をしっかり確認しよう
今回は、相続税の申告に関連して、
- 相続税申告に必要な主な書類の種類
- 書類を集める際の注意点やポイント
- スムーズに準備を進めるためのコツ
上記について、解説いたしました。