吹田の任意後見契約|手続きの流れと費用を3段階で解説
「将来、認知症になったときに備えて、任意後見契約を結んでおきたい」。そう考えて調べ始めると、「どんな手続きが必要なのか」「費用は全部でいくらかかるのか」という疑問が、すぐに浮かぶのではないでしょうか。
任意後見契約の費用は、一度に発生するものではありません。「契約を結ぶとき」「効力が生じるとき」「運用が始まってから」の3段階で発生します。この記事では、手続きの流れ(6ステップ)、3段階に分けた費用の内訳、専門家に頼む場合の確認点、契約後に使えなくならないための注意点、吹田市での相談先の選び方を解説します。
任意後見契約とは?(要点だけ)
判断能力があるうちに、公正証書で契約する
任意後見契約は、判断能力が十分なうちに、将来、自分の財産管理や生活上の契約を任せる人(任意後見受任者)と、任せる内容を決めて結ぶ契約です。契約は、公証役場で公正証書により結びます。預貯金の管理、不動産の管理や処分、施設の入所契約、介護サービスの契約などを、任せる内容にできます。
効力は、任意後見監督人が選任されたときから生じる
契約を結んだだけでは、効力は生じません。本人の判断能力が低下したときに、家庭裁判所に「任意後見監督人」の選任を申し立て、監督人が選任されたときから、契約の効力が生じます。それまでは、任意後見受任者は、任せられた事務を行うことができません。
制度の仕組みや、法定後見との違いは、別の記事で詳しく解説しています。[法定後見と任意後見の違いについてはこちら]
任意後見が向いているのは、こんな方
任意後見は、次のような方が、検討することが多い制度です。
- 将来、認知症になったときの財産管理を、自分で選んだ人に任せたい方
- おひとりさまなど、頼れる家族が身近にいないため、専門家や法人に任せたい方
- 後見人を、家庭裁判所に選んでもらうのではなく、自分の意思で決めておきたい方
一方で、すでに判断能力が低下している場合は、任意後見契約は結べません。「まだ大丈夫」と先送りにせず、判断能力が十分なうちに検討することが重要です。
任意後見契約の手続きの流れ【6ステップ】
ステップの一覧
| ステップ | 内容 | 主な担当 |
|---|---|---|
| ① 相談 | 将来の不安や希望を整理し、任意後見が合うかを確認 | 専門家など |
| ② 任意後見受任者の決定 | 誰に任せるかを決める(家族、専門家、法人など) | 本人 |
| ③ 契約内容の設計 | 任せる事務の範囲(代理権の範囲)、報酬、監督の仕組みを決める | 本人、専門家 |
| ④ 公正証書の作成 | 公証役場で、公証人が契約書を作成 | 公証人 |
| ⑤ 登記 | 契約の内容が法務局で登記される(公証人が嘱託) | 公証人 |
| ⑥ 併用する契約の準備 | 見守り契約、財産管理等委任契約、死後事務委任契約、遺言書など | 専門家など |
① 相談から、② 任意後見受任者の決定
最初に、「何が不安なのか」「誰に何を任せたいのか」を整理します。任意後見受任者には、信頼できる家族や親族、司法書士や行政書士などの専門職、法人などを選べます。本人が元気なうちに、受任者と十分に話し合うことが大切です。受任者が、本人より先に亡くなったり、高齢になったりする可能性もあるため、将来の備えも考えておきましょう。
③ 契約内容の設計(代理権の範囲)
任意後見契約では、任せる内容(代理権の範囲)を、契約書に具体的に書きます。主な内容は次の通りです。
- 財産管理:預貯金の管理、不動産の管理・処分、年金や保険の手続き
- 身上監護:福祉施設への入所契約、介護サービスの契約、医療に関する契約(医療行為への同意そのものは含まれません)
契約書に書かれていない事務は、任意後見人は行えません。将来必要になりそうな手続きを、漏れなく書いておくことが重要です。一方、広く書きすぎると、本人の意思とずれる可能性もあります。本人の希望に合わせて、バランスよく設計する必要があります。
契約書に盛り込む項目の例
代理権の範囲のほかに、契約書では、一般に次のような項目も定めます。
- 報酬:任意後見人に報酬を支払うか、支払う場合の額と支払方法
- 報告:任意後見人が、本人の財産の管理状況を、誰に、どのくらいの頻度で報告するか(任意後見監督人への報告のほか、家族への報告を定める場合もあります)
- 費用の負担:任意後見の事務にかかる実費の扱い
- 契約の解除:効力が生じる前は、公証人の認証を受けた書面により、本人または受任者から解除できます。効力が生じた後は、正当な理由があり、家庭裁判所の許可を得る必要があります
これらは、契約の内容を、家族や関係者が納得できる形にしておくための、重要な項目です。専門家と相談しながら、本人の意思に沿った内容を設計してください。
④ 公正証書の作成と、⑤ 登記
契約書は、公証人が作成する公正証書の形で結びます。契約の際には、本人と任意後見受任者の本人確認書類や印鑑証明書など、公証役場が指定する書類が必要です。必要書類は、事前に公証役場や専門家に確認してください。
契約の内容は、公証人が法務局に登記を依頼(嘱託)します。登記されることで、任意後見人の権限を証明する書類(登記事項証明書)が取得できるようになります。
本人が来所できない場合
本人が高齢や入院などで、公証役場に出向けない場合は、公証人が自宅や施設、病院に出張して、契約を行うことが可能な場合があります。ただし、出張の場合は、別途費用がかかることがあります。事前に、公証役場に確認してください。
費用の全体像を3段階で整理【一覧表】
3段階の費用の一覧
| 段階 | 主な費用 | 誰に支払うか |
|---|---|---|
| ① 契約時 | 公証人手数料、登記嘱託手数料、収入印紙、正本・謄本の手数料、専門家への報酬 | 公証役場、法務局(印紙)、専門家 |
| ② 効力発生時(監督人選任の申立て) | 申立手数料、登記手数料、郵便切手、鑑定費用(必要な場合)、専門家への報酬 | 家庭裁判所、専門家 |
| ③ 運用中 | 任意後見人への報酬、任意後見監督人への報酬 | 任意後見人、任意後見監督人 |
※金額は公的資料に基づく目安です。手数料は改定されることがあり、家庭裁判所ごとに異なる項目もあります。最新の金額は、公証役場や家庭裁判所に確認してください。
① 契約時にかかる費用
法務局の資料などによると、任意後見契約の公正証書の作成にかかる主な費用は次の通りです。
- 公証人手数料:11,000円
- 登記嘱託手数料:1,400円
- 収入印紙(法務局に納付):2,600円
- 正本・謄本の手数料:本人らに交付する証書の枚数に応じて、別途必要です
これらは、契約書の作成や登記にかかる公的な費用の目安です。専門家に、契約書の案の作成や、相談を依頼する場合は、別途、専門家への報酬が発生します。
② 効力発生時にかかる費用(任意後見監督人選任の申立て)
判断能力が低下した後に、家庭裁判所に任意後見監督人の選任を申し立てる際には、次のような費用がかかります。津家庭裁判所の令和5年10月版の案内によると、主な費用は次の通りです。
- 申立手数料:収入印紙800円
- 後見登記手数料:収入印紙1,400円
- 連絡用の郵便切手:2,800円分(組み合わせは家庭裁判所の指定による)
- 鑑定費用:医師による鑑定が行われた場合、5万円〜15万円とされています。なお、法務局の資料では、鑑定費用は「ほとんどの場合、10万円以下」と案内されており、鑑定が必要になるとは限りません
申立人が希望すれば、これらの費用の全部または一部を、本人の負担にできる場合があります。切手の額や必要書類は、家庭裁判所ごとに異なります。実際に申し立てる家庭裁判所(本人の住所地を管轄する家庭裁判所)に、確認してください。
③ 運用中にかかる費用
任意後見が始まった後は、次の費用が継続的に発生します。
- 任意後見人への報酬:契約で定めた額を、本人の財産から支払います。家族が任意後見人になる場合は、無報酬とすることも多くあります
- 任意後見監督人への報酬:弁護士や司法書士などの専門職が、任意後見監督人に選任された場合は、報酬を本人の財産から支払う必要があります。金額は、家庭裁判所が決定します
任意後見監督人への報酬は、本人の財産の状況によって変わります。金額の目安は、家庭裁判所や専門家に確認してください。任意後見は、契約を結んだ後も費用がかかり続ける点を、あらかじめ理解しておきましょう。
専門家に頼む場合の費用と、選び方
専門家の役割
任意後見契約は、本人と受任者が公証役場で直接結ぶことも可能ですが、契約内容の設計に不安がある場合は、専門家に相談する方法があります。
- 行政書士・司法書士:任意後見契約書の案の作成支援、相談
- 弁護士:争いのある場合の対応、相続や財産管理に関する法的な相談
報酬の確認点
専門家への報酬は、事務所によって異なります。見積もりを取る際は、次の点を確認してください。
- 報酬に、何が含まれているか(相談、契約書案の作成、公証役場との調整、同席など)
- 公証人手数料などの実費が、別途かかるか
- 追加費用が発生するのは、どのような場合か
- 契約後の支援(見守り、効力発生時の申立ての支援など)が、含まれているか
特に、効力発生時の申立ての支援を、誰が、どのような費用で行うのかは、契約の時点で確認しておくと安心です。
【要記入:任意後見契約に関する、貴事務所の報酬の目安(ある場合)、相談実績の件数、提携している司法書士・弁護士・税理士の体制、対応エリア、相談の方法(来所・オンライン・出張など)を、貴事務所の実際の内容でご記入ください】
吹田市で、家族信託とあわせて検討する場合は、次の記事も参考にしてください。[吹田市の家族信託と行政書士についてはこちら]
効力が生じるまでの流れと、契約後の注意点
判断能力が低下したときの申立て
判断能力が低下したら、家庭裁判所に、任意後見監督人の選任を申し立てます。申立てができるのは、本人、配偶者、四親等内の親族、任意後見受任者です。本人以外の人が申し立てる場合は、本人の同意が必要です(本人が意思を表示できない場合を除く)。
申立てに必要な書類の例
津家庭裁判所の案内によると、申立てには、次のような書類が必要です。詳細は、申し立てる家庭裁判所に確認してください。
- 申立書、申立事情説明書、任意後見受任者事情説明書、親族関係図、財産目録、収支予定表
- 本人の戸籍謄本、住民票または戸籍附票、診断書(いずれも発行から3か月以内)
- 任意後見契約の公正証書の写し、登記事項証明書
- 本人の財産に関する資料(預貯金、不動産、負債)と、収支の資料
申立て後、家庭裁判所の調査や、必要に応じた鑑定が行われ、任意後見監督人が選任されます。なお、申立て後は、家庭裁判所の許可がなければ、取り下げることができません。
契約から効力が生じるまでの「空白」への備え
任意後見は、契約しただけでは効力が生じません。そのため、契約した後、本人の判断能力が低下しても、家族が気づかず、申立てをしないまま時間がたってしまうと、本人の財産管理ができない状態が続くことがあります。この空白を防ぐために、次のような契約を併用する方法があります。
- 見守り契約:定期的な連絡や訪問で、本人の状況を確認し、申立てのタイミングを逃さない
- 財産管理等委任契約:判断能力は十分でも、体が不自由な場合などに、財産管理の一部を任せる
死後の手続きは、対象外
任意後見は、本人が亡くなったときに終了します。葬儀、納骨、家財の整理、各種解約といった亡くなった後の手続きは、任意後見の対象ではありません。死後事務委任契約や、遺言書など、別の備えが必要です。
制度改正の動き
成年後見制度の見直しを柱とする改正民法などは、2026年6月17日に成立しました。施行は、公布の日から2年6か月を超えない範囲で政令で定める日とされており、施行日は未定です。それまでは、現行制度が続きます。任意後見との関係の詳細は、施行に向けて公表される情報を確認してください。
吹田市で相談するときの窓口の選び方
公的な窓口
任意後見契約そのものは、公証役場で結びます。契約の内容の相談や、制度の情報は、次のような窓口で受けられる場合があります。
- 地域包括支援センター:高齢者の総合的な相談窓口。成年後見制度の情報提供など
- 社会福祉協議会:権利擁護に関する相談など
- 公証役場:契約書の作成、手数料の確認
窓口の名称や連絡先、受付時間は、変更されることがあるため、吹田市などの公式サイトで、最新の情報を確認してください。
連携窓口のメリットと限界
任意後見は、契約だけでなく、見守り契約、死後事務委任契約、遺言書、家族信託など、複数の備えを組み合わせて考えることが多くあります。司法書士・行政書士・税理士などが連携している窓口であれば、全体を見通して相談できます。ただし、業務は専門職ごとに分かれており、窓口がすべてを一括で代行するわけではありません。誰が何を担当するのかを、依頼前に確認しておきましょう。[北摂の相続・終活の無料相談についてはこちら]
よくある質問・まとめ
よくある質問
Q. 任意後見契約の総額は、いくらかかりますか? 契約時の公的な費用(公証人手数料など)に、専門家への報酬、効力発生後の申立て費用、任意後見人・任意後見監督人の報酬が加わります。段階ごとに費用が発生するため、総額は、状況によって大きく異なります。見積もりで、内訳を確認してください。
Q. 契約を結んだら、すぐに使えますか? いいえ、契約しただけでは、効力は生じません。判断能力が低下したときに、家庭裁判所に任意後見監督人の選任を申し立て、選任されてから、任意後見人が事務を始められます。
Q. 公証人は、自宅や施設に来てもらえますか? 本人が、公証役場に出向けない場合は、公証人が出張して契約を行える場合があります。出張の場合は、別途費用がかかることがあるため、事前に公証役場に確認してください。
Q. 任意後見人は、複数でもよいですか? 契約の内容によって、複数の任意後見人を定めることも可能です。ただし、権限の分け方や、意見が分かれたときの扱いを、事前に決めておく必要があります。専門家に相談して設計してください。
Q. 相談だけでも大丈夫ですか? はい、任意後見が自分の状況に合うか分からない段階でのご相談でも問題ありません。状況を伺いながら、適した選択肢を整理します。
まとめ
任意後見契約の費用は、契約時、効力発生時、運用中の3段階で発生します。契約時の公的な費用は、公証人手数料11,000円、登記嘱託手数料1,400円、収入印紙2,600円などが目安です。そのほか、効力発生時の申立て費用、鑑定費用、任意後見人・監督人の報酬が発生する場合があります。また、契約しただけでは効力が生じないため、見守り契約などの併用で、空白への備えをしておくことが大切です。まずは、無料相談などで、状況を整理するところから始めてみてください。


